【マギ】神出鬼没なマギ5.〜永年王国〜

第xxx夜 理想郷のマギ ページ39

大峡谷でアルバとの対峙

ーー


「A…、可愛い私のA。守ってあげるからこっちにきて…」


大きく変わった世界を飛びまわっている時、大峡谷にアルバが攻めてきた。

ユナンがアルバにボロボロにされた。


精神に干渉し白ルフを黒く染めようとした時、アラジン達が駆けつけて難を逃れたらしい。

その直後に僕が場に現れ、今に至る。


「そのマギは、アラジン達や貴女をアルマトランの因縁から解放するなどと抜かす。貴女をたぶらかそうとする。そしたら貴女はまた傷つく。そう、アルマトランの時のように」



僕を殺そうとし大陸の裂け目に落としたことを問えば、あれから自分のした仕打ちに長らく後悔してたらしい。
あの弱ってる僕を引き込めばよかったと。
そしたら僕も楽に生きられたでしょうと。


「A…、ダメだよ…、行かないで」


モルちゃんに抱きかかえられて横たわるユナンが呟く。


アルマトランでも群を抜くほど強いアルバと戦い、そして精神に干渉されかけたのだ。
白ルフしか纏ってない者の中に異質な黒を無理矢理入れ込もうとしたのだ、気分が悪く意識を保ってるのもしんどいはずだ。


「アルバ、僕はね。君達を一度も敵だと思ったことはないよ?僕はどっちの味方でもない。同時にどちらの敵でもない」

「そんな狭間にいて辛いでしょう?世界はどちらかを求める。白か黒か。私と一緒のところまで堕ちてきてA…、大切にするから」


そしてしばらく、僕ら2人の。
アルマトランからの馴染み同士の話し合いが続いた。



「何で、君達はいつも。一歩遅いのかな…、何でもっと早く僕をそちら側に誘いに来てくれなかったの?」



そう、僕はきっと。
心が弱ってる時に誘われたら、その手を取っていたと思う。

辛くて、縋りたくて、でも縋る人がいなくて。
そんな時にふと、そんな風に差し伸ばされたのなら。
僕は今頃、組織の一員でいて。
世界は既に破綻していたかもしれない。

だって僕らは、レジスタンスの中でも強者だから。


「君がね、こうして誘ってくれるより前にね。僕はユナンと出逢ってしまったんだ。心地よい人と出逢って旅をして、そちらには行けない十分な理由ができちゃったんだ」


苦しそうに顔を歪めるユナンに駆け寄って、額に手を添える。
黒ルフから白ルフに変える僕のルフを少しずつ注ぎ込んでいると、その手をユナンが掴みそのまま眠った。



「だから、ごめんね。僕はそっちには行けない。僕は、ユナンと一緒にいたいんだ」

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