第xxx夜 ほわほわのふわふわ ページ38
暗黒大陸からのAの帰還。
ーー
暗く暗く、光の届かない大峡谷。
そこに彼ら、ジュダルとアリババくんは帰ってきた。
そしてここから去って行った。
そして彼女、僕の優しき王様、Aはいまだに暗黒大陸から戻ってきてはいない。
「A…」
暗黒大陸へ続く道と僕の家の狭間で、今日も座って彼女を待つ。
『ここに、帰っておいで』
ちゃんと帰っておいでと、彼女が旅立つ時に伝えたのに。
君の帰る場所はここにあるのに。
君はやっぱり、そっちの方が生きやすいのかい？
そっちは君の事を責める者はいない。
「もう、ここには帰ってこないつもりなのかい？」
1人でつぶやいた言葉が闇に響く。
A、君がいない間に世界は変わったよ。
金属器は管轄下での管理になってるから持てないんだ。持ってると指名手配されちゃうからね…。
だから君の金属器であり、彼の形見である杖を預けてしまったよ…、ごめんね。
でも、僕は君が指名手配されて。
また世界から追われて責められるのは嫌なんだ、そう、アルマトランのように。
それからクロも寂しがっているよ…。
早く、早く戻っておいで…。
そんな事を思っていると、遠くから声がする。
その声は優しくて暖かくて。
ふわふわのほわほわで。
どんなに小さくても僕の耳にはちゃんと届く。
「ユナン、ユナ〜ン!」
息を切らして、手を振って走ってくるその人。
揺れる金色の髪は、こんな暗闇でも綺麗に輝いていた。
例えるならそう、きっと。
夜に浮かぶ月のような、そんな綺麗さ。
「A…っ」
帰ってきた。
彼女が、ここに、帰ってきてた…。
思わず腕を広げてみせれば、彼女はそこに飛び込んで来た。
あぁ、ほら。この香りだ…。
優しくて暖かくて、僕の安心する香り。
「ただいま、ユナン」
「A…、遅いよ」
すると彼女は、ごめんね、と呟いて笑った。
「おかえり、A。帰ってきてくれたんだ」
「当たり前でしょ、ユナンがいるんだもん。それに帰っておいでって君が言ったんでしょ？」
へへっと笑う彼女を強く抱きしめる。
もう、どこにも行ってほしくない。
ずっといて欲しいよ、側に。
君と離れるのがこんなにも辛いとは思わなかったんだ…。
「ユナン、暖かいね〜」
そう呟いた彼女を今一度抱きしめる。
あぁ、こんなにも安心するのか。
君はやっぱり、ほわほわのふわふわだ。
第xxx夜 理想郷のマギ→←【幕間】 終幕前にお読みください（登場人物達がお互いにどう思っているのか追記しました）
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ララ(プロフ) - 未だに更新し続けてくれてるのがとても嬉しいです。千年彗星さんの言葉の表現がたまらなく好きです。 (9月10日 2時) (
レス) @page40 id: 759c071471 (このIDを非表示/違反報告)
千年彗星(プロフ) - きくさぶなそれさん» コメントありがとうございます！だいぶ前に更新し返信いただけるなんて思ってもみなかったです。執筆止まっていますが、時間あれば書いていこうと思ってます、今後もお願いします。 (2021年12月11日 18時) (レス) id: bc8271a1c1 (このIDを非表示/違反報告)
きくさぶなそれ(プロフ) - 次更新したのが何億年先でも、気合で読んで見せますから！！完結まで見届けてやりますよ！！！ (2021年12月11日 12時) (レス) id: 422828d005 (このIDを非表示/違反報告)
きくさぶなそれ(プロフ) - 一昨年位からはまり始めた作品で、今年も作品を更新してる。それだけでご飯が５０杯くらい食べれそうなくらいうれしいです！更新頑張ってください！！！と言いたいですが、でもやっぱり作者さんの気持ちが一番大事！体を休めて気が向いたらこちらにいらしてください！！ (2021年12月11日 12時) (レス) @page37 id: 422828d005 (このIDを非表示/違反報告)
千年彗星(プロフ) - 凛さん» コメントありがとうございます！楽しみだと言って貰えてとても嬉しいです、今後ともよろしくお願いします。 (2021年7月24日 14時) (レス) id: bc8271a1c1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：千年彗星 | 作成日時：2017年5月3日 0時
