【マギ】神出鬼没なマギ4.〜アルマトラン編.後編〜

第173夜 拝啓 ライ様 ページ26

たくさんの命がこの世界から消え。

ダビデの自爆に巻き込まれたソロモンが眠り通して、もう丸2日間が今日で経とうとしていた。





拝啓 ライ様

突然ですが。

17歳にしてこの世を去った君に向けて、僕のこの2日間を心のなかで綴りたいと思います。



ー陽が昇る朝ー


嘆きと共に失落する魔道士の傍で、


『もう結界の中で生きなくてもいいんだな!』

『俺たちは自由だ!!』


容赦の無い異種族の言葉が胸に刺さります。


『家族が死ぬなら…、異種族のためになんて戦わなかった…』

『初代。何でここに残ってくださらなかったのですか…?』

『噂で聞きましたよ。貴女様は最後まで残りたいとせがんでいたそうじゃないですか』

『あの時、貴女様の意志がもっと強かったら!! 家族が死ぬことなんてなかった!!』

『この、人殺し…!!』



ー天高く陽が昇ったお昼ー


『ウーゴ、出てきて!! お願い!! 』

『ダメだよ…、出ていけない…。みんなになんて謝ればいいんだ…』


あの戦いにおいて、彼は決して悪くない。
それでも自分自身を責め続けるウーゴの説得に必死で。


『ねぇ、ウーゴ。悪くないよ、君は何一つ悪くない…!! 』

『A…?』

『悪いのはむしろ…』


意志が弱かった僕のほう…。





ー月と星が瞬く夜ー


自爆に巻き込まれ重症のソロモンに治癒魔法をかけに足を向ける。

みんな疲れてて、眠ってしまった静かな夜。
その部屋には僕と目覚めないソロモンの2人きり…。


『ねぇソロモン。僕から君へとレジスタンスのリーダーが代わる時、僕は反対したよね』


返事のない彼にひたすら話す。


『もっと強い意志があったら、君にこんな傷も負わせずにすんだかな? 君が王様になることもきっと無かった』

『ごめんねソロモン…!!』


神様。お願いします。

僕の持ってるちっぽけな権力も、不老不死のこの身も、永遠なる命も全て還します…。

だからどうか!!
彼だけは、ソロモンだけは救ってください…!!





朝、昼、夜と2日間同じことをしていました。

え? ご飯も睡眠もしてないじゃないかって?
うん、そうだね。
でも大丈夫だよ、僕はこうしてほら、まだ生きてるんだから。



こうして手紙風に綴ってみたのは。
大人の君に1度だけ感謝の手紙を貰ったことを思い出したからです。

返事ができなかったので、これはそのお返しです。

それと。
最後に我が儘を言ってもいいですか?


ライ、君に会いたい!!
何千年でも待ってるから早く帰ってきて!!




敬具 A

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