【マギ】神出鬼没なマギ4.〜アルマトラン編.後編〜

第174夜 得るもの、失うもの ページ27

2日間の時を経て、ソロモンが目を覚ました。


自責の念に駆られ部屋へ閉じこもってしまったウーゴを無理矢理引きずり出して。


皆の前へ出れば胸ぐらをイスナーンに掴まれている姿がここからならよく見える。


ビュービューと吹き荒れる風が僕の身体を吹き抜けていくこの場は、建物の屋根の上。



「A様〜、何してるんですか〜?」

「そんなところに座ってたら危ないですよ」


腰を掛け、足をフラフラさせる僕に隊員達が優しく声をかけてくれる。


「皆の言うことなんて気にしないでくださいよ。人殺しなんて、八つ当たりなんですから」

「んー」

「ソロモン様、探してましたよ? 起きてすぐに。貴女の治癒魔法で命を助けられたのだから礼を言いたいと」

「それから無事なのかも心配してました」


八つ当たりだってことも分かってる。
それでも、僕に当たることで少しでも楽になれるのならそれでいい…。


そうすることで、ソロモンへの当たりも少なからず減るだろうしね。


レジスタンスの初代リーダーとしての最善の策だと自分で褒め称えよう!!


「2代目、責められるのにビビって逃げちまったしなぁ〜」

「あんな卑怯者よりA様の方がよっぽど素敵よ!!」


何時も通りのやり取りに思わず笑ってしまう。

またそんなこと言って。
2代目に目をつけられても知らないぞ僕は!!


そんな時、

「もう一度、ダビデの大聖堂へ行ってみよう。行くだろA」

「…、うん。行く…!!」

悲しみを悲しみで終わらせるのは嫌だから。






「やはり何もないのぉ…」

辺りを見渡しても特に何もない。


『ダビデは俺に出会って、何かを得た代わりに大切な何かを失ってしまったんだ』

『何かって?』

『う〜ん。例えば…、』


「巨大な力、とか?」

バッと一斉に皆の視線が集まる。


「お前、この杖持ってないのに分かるのか?」


そういいながら、自爆の際に手渡されたダビデの杖を持ち直すソロモン。


「分かるとかじゃなくて。さっきのは僕の尊敬する魔道士の言葉っていうか」

「そりゃあ凄い魔道士だな。お前が尊敬すだけあって」


そして力の隠し場所へ行くとか言い出すソロモン。何が起こるかわからないっていうウーゴの言葉を押し切って、


「それでも俺は行く!」

とかほざいた彼に一発かましてやった。


「いてぇ…」

それでも事は進んでしまっていて。


「ソロモン!!!」

「誰も来るな!!!」

「来るなって言われて行くのが僕」









ほら、別れはすぐそこ…。

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