第145夜 夜風に吹かれる草花と ページ47
人はいつかは死ぬ生き物だ。
愛する人が死んだその時。
それは愛してる人がいるとなるのか、愛してる人がいたとなるのか。
「A、まだ起きてたのか」
第7基地で植えた花の種が芽吹き、一面に花の海が広がるここ。
夜は静かで、1人でこの景色を楽しむには最高。
「寝つきが悪くてね」
そう言うと隣に座るソロモン。
こうして2人きりになるのは久しぶりで、いつもの忙しない時を忘れてしまう。
「昔は夜中によく脱走してたよな、俺ら」
「そうそう! それで帰るときに聖教連に見つかったりしてさ。ソロモン様、ソロモン様って」
「見つかったのは俺が原因だがな」
本当だよ。ソロモンが同行する前までは上手くやってたのに、君が文句ばっかり言ったりするから!!
「ソロモン様をたぶらかしおってー!って凄く叱られたし、打ち首には何度もなりかけるし」
「ははは!! 今のそっくりだったぞ!!」
サァアと、心地よい風が吹き抜けると共に草花が揺れる。それはまるで、昔の思い出を運んでくるみたいに思えて…。
「そういえば、ソロモンって結構モテるよね」
「…は?」
「だって、グヌードにいた時とか女の子から告白とかされてたじゃん。今だって、シバやアルバは君の事好きだし」
満開の花が咲く中、後ろに倒れ込み星や月を眺める。
返事が返ってこないソロモンの方を見上げれば目が合い、同じように後ろに倒れこんでくる。
「シバはともかく、アルバは違うだろ」
「それがそうなんだよな〜。だってソロモンと剣術の練習してる時なんて可愛らしく頬染めちゃってるよ」
昔からソロモンの事になると凄いんだからアルバは。僕と友達になったって知った時なんか泣いてたよ。
あれは嬉し泣きじゃなく、僕みたいな底辺の人間と関わりを持った悲しみだわ。
「ま、俺には好きな奴いるしな」
「えぇ!?」
いや、何それ! 初耳だよ!! 長年一緒にいて気づかなかったとは…!!
「教えて!! 知りたい!! ヒントでもいいから!!」
ガバリと身体を起こし彼を見下ろす。
「まぁ、言えば昔から一緒で」
昔から…。じゃあ、アルバ?
「あと背は小せぇな」
小さい…。だったらシバ?
「結局どっちか分かんないじゃん!! もぉ〜」
今度はソロモンのお腹の上にドサッと倒れる。
どうだ!!重いだろう!!
どいて欲しかったら好きな人を言うんだ!!
「帰ったらな」
「ん?」
「明日の統制からお前が帰った時、教えてやるよ」
心地よい夜風が吹く中、彼は優しく微笑んでいた。
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千年彗星(プロフ) - 青鷺さん» コメントありがとうございます!! 小説共々、頑張っていくので今後ともよろしくお願いします(*^^*) (2016年6月28日 6時) (レス) id: 45d0ac0ce9 (このIDを非表示/違反報告)
千年彗星(プロフ) - マリーネさん» コメント感謝です(*^^*) 読者さまが楽しんでいただけたら幸いです! 今後ともよろしくお願いします!! (2016年6月28日 6時) (レス) id: 45d0ac0ce9 (このIDを非表示/違反報告)
青鷺(プロフ) - 千年彗星さん» 小説もだけど、受験頑張ってください!!!勉強?なにそれおいしいの? (2016年6月28日 6時) (レス) id: cb35208076 (このIDを非表示/違反報告)
マリーネ(プロフ) - むっか〜。シンドバッドむっか〜。 (2016年6月28日 4時) (レス) id: 252b10e98a (このIDを非表示/違反報告)
千年彗星(プロフ) - きゅーちゃんさん» 好きと言っていただきありがとうございます!! 今後ともこの小説をよろしくお願いします(*^^*) (2016年5月2日 17時) (レス) id: 113143dc1c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:千年彗星 | 作成日時:2015年8月1日 13時