第128夜 共に歩むと誓おう ページ30
「おい、そろそろ起きろ」
「んぁ〜。よく寝た」
ぺちぺちと頬を叩かれ目覚める。見上げたそこにはソロモンの顔。
ずっと膝枕しててくれたのか…。用事でもあっただろうに悪い事したな。
寝る前まではウーゴの姿があったが、今は見当たらなくて。人の声すら届かないこの部屋で、2人取り残されたみたいだ。
「陽射しが眩しい」
窓から入ってくる陽射しに目を細める。
「あぁ、少し強いな。でも、陽射しが眩しいなんてあの頃の俺は知らなかった」
「いつの話?」
ソロモンの手が陽射しを隠すようして僕の顔に触れる。
「俺がまだ、世界の綺麗さを知らなかった頃だな。あの頃は太陽の陽射しの眩しささえ知らなかった」
そう、あの頃の僕等は未熟だった。世界の事を知らない彼と、世界の事を知った気になっていた僕。
世界は綺麗な事ばかりで、汚いところは世界の腐敗した部分。だから綺麗な世界だけが本当の姿だと思った。
「綺麗なところも、汚いところも、全部含めての世界なんだよ」
そうして僕等の世界は廻っている。そんな世界の一角で君と出会えたあの日。価値観が正反対だった君とこうして手を取り合えるなんて思いもしなかったんだよ。
「俺は弱いよ、A」
「僕も弱いよ、ソロモン」
だからお互いに支え合っているんだ。弱さを補い合い、互いが決して折れないよう必死なんだ。
「お前が死んだら、俺は後を追うかもな」
「何言ってるの、生きなきゃダメだよ」
頬に触れる手を上から重ねてみる。僕の手より遥かに大きいその手。昔は同じくらいだったのに、いつの間に…。
「生きて、生きて、死する時がきたら僕のことを呼びなよ」
「そしたら絶対来いよ」
昔から一緒だった。見かけはしっかりしていて心配なんてする必要なんてなさそうに見える彼。けれど、実際は違ったんだ。
「さて、持ち場に戻ろうかな!!」
彼の手を退けて立ち上がる。陽射しは相変わらず輝いていて。
「途中まで一緒に行くぞ」
立ち上がるソロモンに手を差し伸べる。僕の手を掴み立ち上がる彼は、身長も大きくなっていて。
「手、大きくなったね」
「お前は変わらないな」
立ち上がってもなお、放される事のない手。
昔は君も同じ大きさで。いつの間にか君だけが成長していく。
「歳をとらないっていうのも、案外大変なんだからね」
「歳をとるのも大変なんだぞ」
ねぇ、ソロモン。
たとえ君がこの手を放そうとも、僕から離すことはないよ。
君が死ぬその瞬間まで、共に歩むと誓おう。
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千年彗星(プロフ) - 青鷺さん» コメントありがとうございます!! 小説共々、頑張っていくので今後ともよろしくお願いします(*^^*) (2016年6月28日 6時) (
レス) id: 45d0ac0ce9 (このIDを非表示/違反報告)
千年彗星(プロフ) - マリーネさん» コメント感謝です(*^^*) 読者さまが楽しんでいただけたら幸いです! 今後ともよろしくお願いします!! (2016年6月28日 6時) (レス) id: 45d0ac0ce9 (このIDを非表示/違反報告)
青鷺(プロフ) - 千年彗星さん» 小説もだけど、受験頑張ってください！！！勉強？なにそれおいしいの？ (2016年6月28日 6時) (レス) id: cb35208076 (このIDを非表示/違反報告)
マリーネ(プロフ) - むっか〜。シンドバッドむっか〜。 (2016年6月28日 4時) (レス) id: 252b10e98a (このIDを非表示/違反報告)
千年彗星(プロフ) - きゅーちゃんさん» 好きと言っていただきありがとうございます!! 今後ともこの小説をよろしくお願いします(*^^*) (2016年5月2日 17時) (レス) id: 113143dc1c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：千年彗星 | 作成日時：2015年8月1日 13時
