第94夜 弱さを知ることは ページ45
夕日が海に反射するシンドリア王国港。
「そっそんな事より!!僕お姉さんと沢山お話ししたいんだ!!」
そんな事…。
ねぇ、アラジン。そんな事で済ませていいの?
もし、僕があの時シバを助けていたのなら…。
君は母親の肌に触れ、本物の声を聞け、抱きしめてもらえたんだよ?
「話?」
「うん!そうさ!!」
「君の母親を殺した奴の?」
ぎゅっ…。
ユナンの服を握り締める。1000年経った今も後悔し続ける。
きっとこの思いは一生、報われることはないのだろう。
「それは…!!」
顔が見えなくても分かる。彼の困った顔…。
許さなくていい。無理して僕に笑ってくれるくらいなら「何で救ってくれなかったのさ!!」そう言って責めて欲しい。
「アラジン、僕とAはこれから会談の準備があるから…ね?」
「うっうん…。じゃあまたね!!お姉さん!!」
王宮へと駆けて行くアラジン。その後ろ姿を見ると思うのだ。
もし母親が生きていたのなら、君はこの道を1人で帰らなくて済んだんだ…と。
ぽんぽん。
只々、俯くことしか出来ない僕に優しく触れるユナン。
「大体の事は理解したよ」
そして優しく僕の頭を撫でる。
「人は間違える事だってあるよ…」
「うん…」
「けれどいつまでも逃げてたらだめ。君は犯 した罪から目を逸らしかけた」
「知ってる…」
「ちゃんと向き合って?」
君の優しさに触れる度、心が痛くなる。
ユナン。
君は僕がこちら側の人間では無いことを知っていたのかな?
だとしたら、今まで知らないふりをしてくれてたんだね。
「大丈夫。僕が側にいるから…」
「あ…りがと…。頑張る…」
喉からでたその返答は掠れていて。
「ホテルに行こうか」
僕の手を優しく握って、何時もの笑顔で微笑んでくれる君。
ありがとうユナン。
君のおかげで本当の本当に、自分の罪と向き合う覚悟ができたよ。
弱さを知ることは、恐怖ではない。
弱さを知ることは、己がまだ強くなる見込みがあるということ。
這いつくばりながらでも、その弱さと戦う姿は何よりも美しい。
第95夜 後悔しないような王候補→←第93夜 いっときの感情に打ち勝つ強さ
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千年彗星 - 花臨さん» コメントありがとうございます(*^^*)進○の巨人にもそんなシーンがあるんでしょうか?よく知らないので時間の合間に読んでみようかと思います(*^^*) (2015年10月5日 0時) (レス) id: c561c3ef2a (このIDを非表示/違反報告)
花臨 - 凄く面白いです!更新を毎日楽しみにしてます! 89話「人間です」……進●の巨人ですかね(笑) (2015年10月4日 13時) (レス) id: 932ef91d5e (このIDを非表示/違反報告)
千年彗星 - 紅鈴さん» コメントありがとうございます!更新率遅くてごめんなさい!!そう言ってもらえるととても嬉しいです(*^^*)頑張ります!! (2015年7月24日 21時) (レス) id: 81bd355fba (このIDを非表示/違反報告)
紅鈴(プロフ) - 千年彗星さん» いつも更新するのを待ってます!頑張って下さい!!v(*⌒0⌒)v頑張って♪ (2015年7月23日 21時) (レス) id: da4cbf1016 (このIDを非表示/違反報告)
千年彗星 - まめもちさん» コメントありがとうございます!なかなか更新できませんが精一杯尽くします! (2015年7月19日 17時) (レス) id: 3062e15b98 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:千年彗星 | 作成日時:2015年2月3日 23時