【マギ】神出鬼没なマギ1.〜運命の逆流を正す者〜

第10夜 幻のような存在 ページ10

幸せと言うものは、
一人では決して見つけることのできない
幻のような存在。





家族がいて、仲間がいて初めて手にすることのできる光…。




しかし、手にすることのできる者もいれば、
まだ幸せの正体が分からず手にすることのできない者もいる…。


嘗ての僕も、幸せというものが分からなかった人間の一人で…。


だからこそ、皆には幸せの正体を見つけてほしくて…。


勿論、幸せがあるからには不幸がある。

大抵の人が不幸を嫌い不幸にならないように
最善を尽くそうとする。

でも、僕は思うんだ…。

幸福だけの人生を送っていたら、
幸せの正体を見つけられたのだろうか…。



不幸を味わうからこそ幸福のありがたさを実感することができ、幸せの正体に気づけるんじゃないのだろうか？









『お前さ〜名前、何て言うわけ〜？』

『あっははは！！！何言ってんの？
こいつに名前なんてないんだよ？』

『あれ〜？そうだっけ？忘れてた〜』

『嘘つくのあんた下手だね〜。あたしにこいつが名前無いの教えたのあんたじゃん！！』

『あははは！そうだっけ？
てかさ、その髪の色って気持ち悪いんだけど？金髪とか見たことねーし！』

『金髪は忌むべき命の証って神父様がいってたのあんた聞いてなかったの？』

『あぁ〜！だから実の親にも捨てられただ〜。へぇ〜。かっわいそー！！』

『捨てられて当たり前じゃん！
こいつは忌み子なんだよ？育ててもらうなんて図々しいんだよ！』

『ま！生かさせて貰えてるだけ、ありがたいと思うことだな！』









例え、
どんなに馬鹿にされようとも罵られようとも、
懸命に生きれば、
誰にでも平等に光は射し込む…。






『お前、今日誕生日なんだってな』

『え？うん…。まぁ』

『なんか欲しいものとかないのか？
誕生日プレゼントとしてさ！！』

『欲しいものか〜。
僕はソロモンが毎日話しかけてくれたり一緒にいてくれたりすることがプレゼントも同然だから…』

『そんなんじゃ俺の気が収まんねーんだよ！』

『何だよそれ…。
あっでも…。しいて言えば…』

『？しいて言えば？』

『名前が欲しいかな〜…なんて！あははは！』

『…』

『…』

『…。A』

『え？』

『前々からお前に名前つけるなら何がいいか考えててな！Aなんてどうだ？
お前にピッタリじゃねーか！な？
そうしろよ！』

『…。
そんないい名前貰っていいの？』

『あぁ！！』

互いの存在があってこそ現れる幻のような幸せ。

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