【マギ】神出鬼没なマギ1.〜運命の逆流を正す者〜

第27夜 世界中を ページ27

人は皆、
苦しくて苦しくて、
時には挫けてしまいそうになるときがある。


苦しい中で誰も手を差し伸べてはくれない
辛さを知っているのと、
知っていないのでは心にかかる負担が大分違うことだろう…。









「ねぇ、ユナン！
ユナンはこの世に生まれてきてはいけない命ってあると思う？」

「また突然だね、Aは」

「あると思う？」

「僕は…。無いと思うよ？
そう言うAはどうなのさ…」

「僕も無いと思う！無いって信じたい！」









でもね、ユナン…。

もし。

もし、
この世に生まれてきてはいけない命が一つだけ存在するとしよう。

そしたら…。

それは、

きっと…。

僕の命だね…。









「無いって信じたいかぁ〜。
ふふ。ねぇ。A」

「んー？」

「もし、僕がその生まれてきてはいけない命に生まれてきてしまったら…。
君は…どうする？」

「世界中を敵にまわしてでも助ける！！」









そう。

嘗てソロモンが小さい時に、

愚々塔全員を敵にまわしながらも僕を助けてくれたように…。









真っ暗な心の中に一筋の光が射し込むとき、

人は前へと一歩ずつ。

だが、確実に進むことができる事を僕は知っている。









気づけば目の前には大峡谷。

底が見えなくて、

まるで死の世界の入り口みたい。

だけど、

僕はここの暖かさを知っている。

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