おまけ ページ2
「Aちゃん、何読んでるの?」
「ひっ!!」
公園のベンチで本を読んでいた私は、突然背後に現れた男に小さな悲鳴を上げる。
「驚かせちゃった? ごめーんネ」
振り返ると全然謝っている様には見えないカカシさんがいた。
「珍しく夢中になって本を読んでるから気になって…んーっと、タイトルは…『橙(だいだい)いろのふたり』? どんな内容なの?」
「…なんか忍者と一般人の恋物語みたいだよ」
「ふーん?」
途端ににやにやとカカシさんがこちらを見た。
「違うから! た、ただ本屋さんでおススメの棚に置いてあったから読んでるだけ! 別にカカシさんと私を意識した訳じゃないから!」
慌てる私にカカシさんは意地悪な笑みを深くした。
「いいじゃない、Aちゃんと俺はお付き合いしてるんだし。同じ状況ならそれは興味持つよネー」
最早何を言ってもこの男に通用しないので黙るしかない。
「あ、でもその本はちゃんとハッピーエンドなの? もし違っても俺とAちゃんはハッピーエンドだからネ!」
バチコーンと音がしそうなウィンク(片目しか見えないからたぶんだけど)をしたカカシさんが全身緑の熱い男に見えた。
「…この本って誰かモデルがいるのかな? まだ全部は読んでないけど、素敵な二人なんだよね」
暑苦しい雰囲気になりそうなので話を変えてみる。
「実は俺とAちゃんだったりして」
「それはないです。はい、残念」
「えー、なんで即否定するのヨ」
「だってこの忍者さんは真面目で優しくて素敵な人だもん」
「俺だって真面目で優しいでしょーよ」
「優しいけど…真面目な人は遅刻しないと思います!」
「あれは仕方ないデショ。Aちゃんが可愛いのがいけな「あーあーあー!ちょっと外で変なこと言わないでよね!」
「部屋の中なら良いわけネ。じゃあ早く帰ろうか」
「そういう意味じゃない!やっぱり絶対カカシさんがモデルなわけないよ!こんなに不健全だし!」
「ハイハイ。さっさと帰るヨー」
そう言って出された手を私は条件反射でうっかり握ってしまった。
ニヤリと口角を上げた彼。暑苦しい展開は避けられそうにない。
おわり
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作者名:YUI | 作成日時:2018年4月11日 16時