6．主と猫 ページ6
A『やっぱり叢雲だったんだ』
叢雲「あぁ。主殿と話したいと思っていたら……いつの間にかこの姿になっていた」
真人「それならそうと言えよ。こっちは知らない奴がいて驚いたんだから」
真人は叢雲のことが気に食わないのか不満を口にした。
全裸だったので、今は僕の上着を腰に巻いてもらっている。人の姿だと目のやり場に困るから。
A『でも、どうして姿が変わったんだろう？真人が無為転変でもしたの？』
真人「俺は何もしてないよ。
というか……何でよりによって人間の��男��になるわけ？これ以上ライバルは増えて欲しくないのに」
叢雲「真人、この姿は気に食わないか？」
ムスッとした表情の真人に叢雲がそう尋ねれば。
真人「当たり前だろ。Aが惚れちゃったらどうすんだよ。ま、Aは猫派だから俺の方が好きなんだけどね〜」ｸﾙﾘ
A『わっ……！危ないから急に飛び込んでこないでよ』
真人はくるりと灰の猫に変わってみせると僕の腕の中に飛び込んできた。
それを何とか抱き上げ、ついでにふわふわのお腹を撫でてあげれば、真人は甘えるような声で『にゃーん』と鳴いてみせる。
叢雲「……爬虫類もいいと思う」
A『爬虫類？確かに、生き物全般は好きだけど』
叢雲「試しに触れてみるといい」
叢雲の背中にある尻尾を僕の前にすっと差し出される。
それは金色の鱗がびっしり生えていて、触ってみると冷たくすべすべな感触だった。
猫とは違うけどこれもありかも。
真人「ちょっとー！そいつより俺に構ってよ」
A『でも叢雲の尻尾も触り心地いいよ。真人も触ってみたら？』
夏油「ただいま。……おや、何やら面白い事になっているね？」
叢雲の尻尾を撫でていると＿＿いつの間にか、夏油が帰ってきていた。
さすがの夏油も叢雲を見て一瞬驚いた顔をしたけど、すぐにいつもの笑みを浮かべ僕たちに近寄る。
夏油を見た叢雲は警戒心を露わにし＿＿
叢雲「……主殿、こいつには近づかない方がいい」
夏油「その呪力は……叢雲かな？
くくっ、酷いじゃないか。私も一時的だが君の主だったというのに」
夏油はひと目で叢雲だと分かったらしい。
詳しい理由は言わないけど叢雲も夏油を怪しんでいる。
元々、夏油の手持ちの呪霊だったから中身が羂索に変わったことを察知しているのかもしれない＿＿
と、またドアの開く音が聞こえた。
＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿
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作者名：シュリィ | 作成日時：2023年5月7日 20時
