21．過去と猫 ページ21
叢雲の表情が強ばるけど＿＿
叢雲「主殿は……他の人間と違う。
夏油のように無理やり使役することはない。それどころか、いつも我のことを気にかけてくれた」
宿儺「蛇ごときが。痴れ者の猫以外にも厄介な奴が増えたな……」
真人を思い出したのか、宿儺は不機嫌になる。
僕としては仲良くして欲しいけど……部屋に遊びに来た時も言い争ってたしなぁ。
A『ねぇ、2人は知り合いなの？』
宿儺「ん？あぁそうか、まだ話してなかったな」
叢雲「……もう、我にとっては過去のことだ」
宿儺「過去、か。ククッ、そうは言ってもお前が俺に敗れた事実は変わらんぞ？」
どうやら、2人は知り合いみたいで。
苦い顔をした叢雲とは対照的に宿儺は満面の笑みをうかべた。
宿儺「千年前……八つ首に鬼灯の目を持つ��八岐大蛇��という呪霊がいた。
嵐を操る巨大な怪物でな。目障りだったから切り刻んでやったわけだ」
叢雲「我はその後、弱っていたところを人間の呪術師たちに封印された」
宿儺「……全盛期の俺でも、トドメを刺すのは難しかった程だ。
呪術師たちにとっては封印が精一杯だったんだろう」
千年前の宿儺でも殺しきれないほどの呪力と再生力。
さすが、神話に残るほどの呪霊。
僕が��八岐大蛇��に勝てたのは長年の封印で力が弱っていたからかな？
A『そうだったんだ……』
高専にも記録があるけど、��八岐大蛇��については厳重に管理されていたし。
叢雲「今は主殿の元で力を取り戻しつつある。次は……負けない」
宿儺「威勢がいいな。せいぜい自分の主を守っていろ。
それで、A……そんな蛇ではなくそろそろ俺の元に戻ってこい」
宿儺にちょいちょいと手招きされる。
叢雲には悪いけど。真人との関係をバラされるかもしれないから僕は従うしかなかった。
A『ごめん叢雲……』
叢雲「我も側にいよう。2人きりにするのは危険すぎる」
宿儺「チッ、相変わらず頑固だな」
叢雲は僕から離れると、八岐大蛇の姿に変わった。
巨大な八つ首の大蛇は骨をどかしながら寝そべる。それを背もたれにして僕たちは座った。
宿儺「お前は厄介なやつばかりに好かれるな。
五条といい、猫や蛇といい……小僧もお前に好意を持ってるぞ？」
A『それ、宿儺が言う？』
宿儺「ククッ、そうだな。ほら、ここに座れ」
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作者名：シュリィ | 作成日時：2023年5月7日 20時
