第８０曲 ページ40
『あんずちゃーん、手伝いに来たよー？』
あんずちゃんが冷蔵庫に入れてあった差し入れ
を取りに来たであろう厨房に繋がるガーデンテ
ラスに着くと、電気もつけられていないそこに
声をかける。
不自然なくらいに静まり返った其処と何時まで
も返ってこない返事に不安になり車椅子をその
まま中に進めると、ぼんやりと見えた人影に思
わず安堵からため息が溢れた。
『あんずちゃん？遅れてごめんね…やっぱり１人じゃ多かったかな』
その人影に車椅子を進めて近づく。
しかし、近づくにつれて明らかにあんずちゃん
より高い背と見えてきた影に人違いだと気づく
と慌てて車椅子を止めた。
『あ……す、すみませ…！』
「君、もう一人の転校生ちゃんだよね？」
知らない人に声をかけていたことに顔に熱が集
まるのを感じながら恥ずかしさのあまり咄嗟に
謝って後退する。
人影の主はそんな私に話しかけるといつの間に
か目の前に現れて甘い微笑みを此方に向けてい
た。
『えっと……』
「俺はついてるな〜♪さっきの子には逃げられちゃったけど、直ぐに君が現れてくれたんだから」
近い距離に後退しようとハンドリムを動かそう
と腕を動かすと、それを阻止するように車椅子
を止めた目の前の男子生徒にそれも出来ず……。
困惑した頭で男子生徒を見上げると、男子生徒
は嬉しそうにその整った顔を綻ばせていた。
「君は逃がさないよ。こうして出会えたのも神様の思し召しだと思うんだよね…だから、これから俺と出掛けない？」
『いえ…あの…』
「大丈夫、変なところには連れていかないから。ほんとほんと♪」
半ば強引に迫る男子生徒にどうすれば良いのか
分からず眉が下がる。
終いには腕を掴んでここから連れだそうとする
男子生徒に慌てて口を開いた。
『すみません、私まだ学校でやることがあるので』
「そんなもの明日で良いじゃん。俺は今、君と一緒にいたいんだけどな〜」
断ったというのにそれでも尚食い下がる男子生
徒にもはやどうすれば良いのかも分からない。
そもそも、何故男子生徒がこれ程まで私に食い
下がるのか……
こんな私なんかを誘ったところで楽しくなんか
ないだろうし、可愛い女の子は学校の外にたく
さんいる。
それに、こういうふうに(弟を抜けば)男の人に
声を掛けられたこともなければ出かけようなん
て誘われたことも無いのだからどう対応したら
良いのかも声を掛けられた意味も分からない……。
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朔櫻 実桜(プロフ) - *神*威*さん» まだ秘密ですが……恐らく"あの人"です(笑） (2017年10月29日 22時) (
レス) id: cb01b25ab1 (このIDを非表示/違反報告)
朔櫻 実桜(プロフ) - *神*威*さん» ありがとうございます！！面白いと言っていただけるとは恐縮です！どちらかというと男主を書くことが多いので女主の話を書くことは慣れないのですが…ドキドキすると言っていただけてとても嬉しいです！更新これからも頑張ります！ (2017年10月29日 22時) (レス) id: cb01b25ab1 (このIDを非表示/違反報告)
*神*威* - 視線の正体って、“あの人”ですよね？(笑) (2017年10月28日 23時) (レス) id: 662403215f (このIDを非表示/違反報告)
*神*威* - とても面白くて、読んでいてドキドキします！これからも更新頑張ってください(^○^) (2017年10月28日 23時) (レス) id: 662403215f (このIDを非表示/違反報告)
オワタ - 朔櫻 実桜さん» 楽しみにしてます 真緒くんへ、ならば小一時間話そうではないか(＾言＾) (2017年2月19日 18時) (レス) id: 8f905062d1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：朔櫻 実桜 | 作成日時：2016年6月29日 1時
