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黒Side


「俺も…好きです…」

「ん。知っとるよ」


-回想-


小学生の頃、授業の中に仲良し学級というものがあった。

一年から六年までの人たちが
クラスごとに何人かで別れて集まって。

遊んだり、遠足に行ったり。

初めて康二くんと出会ったのは小学二年生の頃。

転校してきた康二くんが
俺のいる仲良し学級のクラスに入ってきた時に出会った。


「蓮くんは私と遊ぶの!」

「違う!私と遊ぶの!」

「は?俺らとサッカーすんだよ!」

「はぁ…」


いつもみたいに始まる俺の取り合い。

確かにサッカーをする約束だった。

なのに俺のことが好きらしい女子たちが間に入ってきて喧嘩が始まる。

それに小学二年生ながら嫌気がさしていた。

周りにいるお兄さんやお姉さんたちはいつもにこにこ笑って、
蓮くんは人気者だねぇって言うだけで間に入ってくれもしない。

でも、康二くんは違った。


「なぁなぁ!俺、今日が初めてやからさ、皆でドッジボールとかせぇへん?皆と仲良くなりたいんやけど」

「えっ…」

「お、良いじゃん。やろうやろう」

「じゃあ一年三年五年チーム対二年四年六年チームな!よし、皆校庭集合!」


康二くんの提案に乗った上級生が声を出すと
皆教室から出て校庭へと向かう。


「いつもあぁなん…?」

「はい…」

「そっかぁ。大変やったねぇ」

「えっ…」


そう言って撫でられた手に動揺してしまう。


「せっかくなら皆と仲良く遊びたいやんなぁ」

「うん…」

「目黒くんの気持ち、考えてほしかったね」

「…っうん」

「じゃ、俺らも行こっか。もう大丈夫やで」


そう言って繋いでくれた手の温もりを、
俺は一生忘れない。

それからすっかり康二くんに懐いた俺は、
仲良し学級なんて関係なく康二くんの教室に遊びに行ったりしてた。

もちろん翔太くんたちと鉢合わせることばかりだったけど。


そしてこの気持ちが単なる憧れや尊敬でないと気付いたのは
康二くんの小学校の卒業式の日だった。


「卒業おめでとうございます」


そう言って康二くんの胸につけたお花。


「おう、ありがとなめめ」

「…っ」


嬉しそうに笑った康二くんがいつもより何だか大人に見えて、
涙が出てしまった。


「あっ…ちがっ」

「何でめめが泣くんよ〜」


そう言って抱き締められた時、


心臓がどくんっ…と脈打った。





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真夏野スピカ(プロフ) - かおりさん» パス外しました! (2020年12月14日 0時) (レス) id: ee0c14e74e (このIDを非表示/違反報告)
かおり(プロフ) - 楽しみにしてます!ありがとうございます! (2020年12月13日 19時) (レス) id: 471bec5651 (このIDを非表示/違反報告)
真夏野スピカ(プロフ) - テンプレ返信ごめんなさい… (2020年12月13日 18時) (レス) id: ee0c14e74e (このIDを非表示/違反報告)
真夏野スピカ(プロフ) - かおりさん» コメントありがとうございます!Part2は現在作成中のためパスを付けてるんです…。0時には開けるようにしますのでお待ちいただけたら幸いですm(__)m (2020年12月13日 18時) (レス) id: ee0c14e74e (このIDを非表示/違反報告)
真夏野スピカ(プロフ) - トマト鍋さん» コメントありがとうございます!Part2は現在作成中のためパスを付けてるんです…。0時には開けるようにしますのでお待ちいただけたら幸いですm(__)m (2020年12月13日 17時) (レス) id: ee0c14e74e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:真夏野スピカ | 作成日時:2020年11月13日 19時

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