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黒Side
「さ、みしっ…」
「ん?」
「康二くんがいないなんて寂しいっ…!」
「そっか…」
たった一年。
たった一歳。
今はただ、その差が一生埋まらない溝のように思えて苦しかった。
「大丈夫。いつでも会えるよ」
「いやだっ…いやだ!!!」
「大丈夫やって」
「やだぁっ…」
わんわん泣き出す俺に、
康二くんだけじゃなくて周りの同級生たちも困惑気味だった。
「お前人気者だなぁ康二(笑)」
「可愛いやろ?ふふ」
優しい声がした。
頭を撫でてくれる手は
いつもの康二くんみたいに温かい。
「ほらめめ。いつまでも康二くん困らせてないで、行くよ?先生に怒られる!」
「…やだ」
「めめ!」
駄々をこねると苛立ちを隠さないラウールにキレられた。
でも、康二くんはずっと俺を抱き締めて撫でてくれていた。
「なぁめめ、聞いて?」
「うん…」
「俺はずっと、めめのそばにおるよ?卒業してもずっと、めめのことは忘れへん。もちろんラウもな。たった一年やん。たった一年我慢したらまた一緒に学校行ける。てか学校隣やん。我慢せんでもずっと一緒におられるで」
「あ…」
「そうじゃん!うち小学校と中学校ほぼ隣じゃん!」
康二くんの発言に思い出したと言わんばかりのラウール。
そして二人で目を合わせて笑った。
「おい目黒!何してんだお前!六年生に迷惑かけんなよ!」
「…」
いよいよ担任に見つかってしまい怒られてしまった。
そして担任は康二くんの担任の先生にも頭を下げた。
「すいません…」
「いえいえ。目黒くん、本当に向井くんのことが大好きなんですよ。よくうちのクラスに遊びに来てましたから」
そう言うとにこにこ嬉しそうに笑う先生。
「ははっ。俺ら相思相愛やからねっ!」
「そうだね」
にこにこ嬉しそうに笑い合う康二くんと康二くんの担任の先生に
思わず顔が赤くなる。
「あの、ほんとごめんなさい…///」
「えぇよ。…俺も寂しかったから」
「めめも同じ気持ちで嬉しかった」
俺の涙でせっかくの晴れ衣装がぐちゃぐちゃなのにもかかわらず
眩しい笑顔を向けてくれた康二くんを見て、
この時俺は、
初めて自分の気持ちに気付いたんだ。
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真夏野スピカ(プロフ) - かおりさん» パス外しました! (2020年12月14日 0時) (レス) id: ee0c14e74e (このIDを非表示/違反報告)
かおり(プロフ) - 楽しみにしてます!ありがとうございます! (2020年12月13日 19時) (レス) id: 471bec5651 (このIDを非表示/違反報告)
真夏野スピカ(プロフ) - テンプレ返信ごめんなさい… (2020年12月13日 18時) (レス) id: ee0c14e74e (このIDを非表示/違反報告)
真夏野スピカ(プロフ) - かおりさん» コメントありがとうございます!Part2は現在作成中のためパスを付けてるんです…。0時には開けるようにしますのでお待ちいただけたら幸いですm(__)m (2020年12月13日 18時) (レス) id: ee0c14e74e (このIDを非表示/違反報告)
真夏野スピカ(プロフ) - トマト鍋さん» コメントありがとうございます!Part2は現在作成中のためパスを付けてるんです…。0時には開けるようにしますのでお待ちいただけたら幸いですm(__)m (2020年12月13日 17時) (レス) id: ee0c14e74e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:真夏野スピカ | 作成日時:2020年11月13日 19時