検索窓
今日:6 hit、昨日:9 hit、合計:296,423 hit

-13- ページ13

黒Side


「さ、みしっ…」

「ん?」

「康二くんがいないなんて寂しいっ…!」

「そっか…」


たった一年。

たった一歳。

今はただ、その差が一生埋まらない溝のように思えて苦しかった。


「大丈夫。いつでも会えるよ」

「いやだっ…いやだ!!!」

「大丈夫やって」

「やだぁっ…」


わんわん泣き出す俺に、
康二くんだけじゃなくて周りの同級生たちも困惑気味だった。


「お前人気者だなぁ康二(笑)」

「可愛いやろ?ふふ」


優しい声がした。

頭を撫でてくれる手は
いつもの康二くんみたいに温かい。


「ほらめめ。いつまでも康二くん困らせてないで、行くよ?先生に怒られる!」

「…やだ」

「めめ!」


駄々をこねると苛立ちを隠さないラウールにキレられた。

でも、康二くんはずっと俺を抱き締めて撫でてくれていた。


「なぁめめ、聞いて?」

「うん…」

「俺はずっと、めめのそばにおるよ?卒業してもずっと、めめのことは忘れへん。もちろんラウもな。たった一年やん。たった一年我慢したらまた一緒に学校行ける。てか学校隣やん。我慢せんでもずっと一緒におられるで」

「あ…」

「そうじゃん!うち小学校と中学校ほぼ隣じゃん!」


康二くんの発言に思い出したと言わんばかりのラウール。

そして二人で目を合わせて笑った。


「おい目黒!何してんだお前!六年生に迷惑かけんなよ!」

「…」


いよいよ担任に見つかってしまい怒られてしまった。

そして担任は康二くんの担任の先生にも頭を下げた。


「すいません…」

「いえいえ。目黒くん、本当に向井くんのことが大好きなんですよ。よくうちのクラスに遊びに来てましたから」


そう言うとにこにこ嬉しそうに笑う先生。


「ははっ。俺ら相思相愛やからねっ!」

「そうだね」


にこにこ嬉しそうに笑い合う康二くんと康二くんの担任の先生に
思わず顔が赤くなる。


「あの、ほんとごめんなさい…///」

「えぇよ。…俺も寂しかったから」

「めめも同じ気持ちで嬉しかった」


俺の涙でせっかくの晴れ衣装がぐちゃぐちゃなのにもかかわらず
眩しい笑顔を向けてくれた康二くんを見て、
この時俺は、


初めて自分の気持ちに気付いたんだ。





-14-→←-12-



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (276 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
1136人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

真夏野スピカ(プロフ) - かおりさん» パス外しました! (2020年12月14日 0時) (レス) id: ee0c14e74e (このIDを非表示/違反報告)
かおり(プロフ) - 楽しみにしてます!ありがとうございます! (2020年12月13日 19時) (レス) id: 471bec5651 (このIDを非表示/違反報告)
真夏野スピカ(プロフ) - テンプレ返信ごめんなさい… (2020年12月13日 18時) (レス) id: ee0c14e74e (このIDを非表示/違反報告)
真夏野スピカ(プロフ) - かおりさん» コメントありがとうございます!Part2は現在作成中のためパスを付けてるんです…。0時には開けるようにしますのでお待ちいただけたら幸いですm(__)m (2020年12月13日 18時) (レス) id: ee0c14e74e (このIDを非表示/違反報告)
真夏野スピカ(プロフ) - トマト鍋さん» コメントありがとうございます!Part2は現在作成中のためパスを付けてるんです…。0時には開けるようにしますのでお待ちいただけたら幸いですm(__)m (2020年12月13日 17時) (レス) id: ee0c14e74e (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:真夏野スピカ | 作成日時:2020年11月13日 19時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。