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黒Side


本当は約束なんてしてなかったけど、
どうしても康二くんの顔が見たかった。

中学の頃からは毎日一緒に登校していたから、
それがこの一年無くなるなんてどうしても嫌で…。

康二くんと一緒に登校したかった。

ウザがられるかもしれないけど、どうしても一緒が良くて。

インターホンを鳴らす。


―ピンポーン


「あーい。ってあれ?めめ?」


扉を開いたのは今まさに会いたくて仕方がなかった康二くんで。

俺の顔を見るなりぽかんと口を開けた。


「おはようございます。あ、舘さんもいたんですね」

「うん。おはよう目黒」


そして当たり前のようにいる舘さん。

小学校に入ってからずっと翔太くんは舘さんと一緒に登校しているらしく、
康二くんを迎えに来るたびこの光景を目にする。

舘さんに挨拶をすると、
親の敵にでも会ったかのような顔で
俺を見る翔太くんがいた。

しかもパジャマのままで。


「は?お前なんで来てんだよ!」

「ちょっと翔太くん…」

「翔太学校行く気あるの?早く着替えなよ」

「もー…。そんなみっともない恰好で出て来たらあかんよ〜」

「ごめん…」

「早く着替えてき?」

「ん」


でも皆に諭されて何か言いたげではあったけど、
着替えるために玄関から立ち去った。


「めめどうしたん?俺今日から高校生やから一緒に行けんよ?」

「分かってます。でも途中までなら良いでしょ?俺、康二くんと一緒に行きたいです」

「まぁ駅までなら…。じゃあ行こか?」

「はいっ!」


急な我が儘なのに優しい康二くんは嫌な顔一つもせずに受け入れてくれた。

やっぱり、康二くんが好きだ…


「じゃあ舘さん、先行くからしょっぴーが来たらよろしくね」

「あー…うん。」

「じゃあいってきます」

「いってきます」

「いってらっしゃい」


きっと、この後の翔太くんのことを考えて苦い顔をした舘さん。

それでも俺らを引き留めることはせず
いってらっしゃいと見送ってくれた。

ばたんと扉が閉まると、さらりと奪われた右手。


「えっ、」

「えぇやん。ここ、あんまり人おらんし」

「あっ、うん…///」

「……好きやで。」


甘い声で囁く康二くんに、
心拍数が追い付かなくなる…


「康、二くん…」

「ほんま好き。幸せやなぁ」


にこにこ笑うその顔が、
俺の胸を刺激して苦しくさせる…





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真夏野スピカ(プロフ) - かおりさん» パス外しました! (2020年12月14日 0時) (レス) id: ee0c14e74e (このIDを非表示/違反報告)
かおり(プロフ) - 楽しみにしてます!ありがとうございます! (2020年12月13日 19時) (レス) id: 471bec5651 (このIDを非表示/違反報告)
真夏野スピカ(プロフ) - テンプレ返信ごめんなさい… (2020年12月13日 18時) (レス) id: ee0c14e74e (このIDを非表示/違反報告)
真夏野スピカ(プロフ) - かおりさん» コメントありがとうございます!Part2は現在作成中のためパスを付けてるんです…。0時には開けるようにしますのでお待ちいただけたら幸いですm(__)m (2020年12月13日 18時) (レス) id: ee0c14e74e (このIDを非表示/違反報告)
真夏野スピカ(プロフ) - トマト鍋さん» コメントありがとうございます!Part2は現在作成中のためパスを付けてるんです…。0時には開けるようにしますのでお待ちいただけたら幸いですm(__)m (2020年12月13日 17時) (レス) id: ee0c14e74e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:真夏野スピカ | 作成日時:2020年11月13日 19時

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