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貴「慌てることはありません!二十人ほど、現場に向かってください。武器はいつものを。」
Aが指示を出すと、二十人が外へと向かった。壁に立てかけてあった鉄砲を手に取る。
貴「あなた方は豊臣の方ですね?」
左「なんでそれを!」
貴「さきほどの報告で動揺しているのが目に見えてわかりましたから。」
Aは立ち上がった。そして、さっきと同じように微笑む。
貴「もう大丈夫です。安静にしておけば、じきに目が覚めるでしょう。」
穏やかな三成の息遣いが微かに聞こえる。左近はため息と共に、その場に座り込んだ。
貴「しっかりなさい。」
左「大丈夫。ちょっと・・・立ちくらみが・・・。」
貴「そうおっしゃるならいいですが。あなたもゆっくりしてください。」
その時、遠くない場所でいくつもの爆発音が響いた。何度も何度も繰り返される。
左「そうだ・・・!頼む!俺達がここに来るのが悪いってわかってるが、殺すのは・・・」
貴「殺してませんよ。あれは催眠ガスです。」
左「さい・・・?」
貴「殺すことは私たちの規則に反します。いかなる状況でも、これを破ることはありません。」
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ゆっくりと、水の中から浮かび上がるようにして三成は目を開いた。すぐ目の前でろうそくの炎が揺らめいている。辺りを見回すと、知らぬ場所にいることがわかった。
すぐ横に、見慣れた輪郭があることに気がついた。
三「・・・・左近。」
細い声しか出なかった。左近は寝ているらしく、ピクリとも動かない。その左近に誰かが布団をかけた。その人物と思わず目が合う。
貴「もう気がついたのですか。大した体力ですね。」
Aはそう言って三成の顔を覗き込んだ。
貴「どこか痛むところはありませんか?」
三「・・・・・ない。」
貴「それはよかった。」
三「左近・・・は?」
貴「彼は先ほどまで起きていたのですがね。ずっとあなたの看病をしておりました。怪我はしていないのでご安心下さい。」
体が熱い。Aの顔がぼやけてくる。声も遠くから聞こえるようで、妙に現実味がない。
貴「熱があるようです。今はとにかく、ゆっくり休んでください。」
その声を最後に、三成は再び意識の底へ落ちた。
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桜楼(プロフ) - アイさん» 応援ありがとうございます!ご期待に添えるよう頑張ります (2014年7月24日 18時) (レス) id: 2a54482901 (このIDを非表示/違反報告)
アイ(プロフ) - とても素敵なお話で楽しく読ませてもらっています。更新頑張ってください。応援しています (2014年7月24日 12時) (レス) id: 52837a80d6 (このIDを非表示/違反報告)
桜楼(プロフ) - 桜さん» ありがとうございます!なかなか更新出来ませんが、頑張ります! (2014年4月4日 9時) (レス) id: 5ec259502a (このIDを非表示/違反報告)
桜 - 続き楽しみにしてます!がんばってください!話の内容的にもとても面白いです! (2014年4月3日 22時) (レス) id: 9151cce92b (このIDを非表示/違反報告)
桜楼(プロフ) - はい、頑張ります!いつも応援ありがとうございます!! (2014年3月18日 19時) (レス) id: a3fc877969 (このIDを非表示/違反報告)
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