お日様皇子と茨の姫と迷宮（レラージュ）は ＊後編（完）＊【練 紅覇】【マギ】

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「でも、こーはしゃまは、わたしのてをにぎってくれた！ だきしめてくれた！ わたしが、あきらめても、こーはしゃま……、こーはしゃまたちが、あきらめなかった！ だから、わたしは、ここにいるよ！ あきらめてない！！」

言えば言うほど、お日様と、お日様の周りにいるみんなが好き！ っていう気持ちは、強くなっていくばかり。

審判『――それでも、お前の父親や国はかえらないぞ』

「わかってうよ！」

わたしは叫んだ。
今のわたしにできるのは、みんながどれだけ、わたしを大切にしてくれているか。
わたしがみんなを、どれだけ大切に想っているか。
それを伝えるしかない、そう思った。

「でも、おとうしゃまのそば、いしのなかにしか、いれなかった。でも、でも！！ いまは、ちがうよ！！」

審判『どう違うのだ？』

「わたしは、そとのせかいをしれた。こーはしゃまたちがみせてくれたんだよ！ だから、いろんなことが、わかって……、たいせつなひとも、できた！！ いまのほうがわらえるし、あったかいよ！！」

審判『……では、怨まないのだな？』

「うん」

ゆっくり、……深く頷いた。
お父様のことはあれど、紅覇様を恨むことは絶対ない。
それは断言できた。
その時、わたしが迷宮にいたのも、わたしがわたしの意思でしたこと。
それは、何よりも、大好きなお日様の傍にいたかったからだ。
だって、お日様達といると、わたしは……。

「いま、しあませだから！」

――ほんとうに、幸せ。
だから、心から笑った。

今ある幸せは、全部、お日様達がくれたもの。……そう確信が持てた。

審判『なるほど、お前が大切にしたいものはあの皇子か』

「うん！」

わたしは、明るく返した。

「こーはしゃまだけじゃないよ！ おねえさんやおにいさんたち。それからじゅだるも！」

――嘘じゃない。
最初のきっかけはお日様がくれた。
でも、その後は、お日様だけじゃなくて。

――純々。
――仁々。
――麗々。
――鳴才。
――鳴進。
――鳴鳳。
それから――ジュダル。

色んな人が、今のわたしの幸せを作ってくれていた。
記憶の海には、そんな、わたしの大切な人たちの笑顔が映し出されていた。

「わたしは、みんな、まもりたい！ うらんだりしない！！」

審判『……いいだろう。お前は、皇子とその周りの者を守りたい。……それ故、皇子を恨まない。それが真実であると認めよう』

審判(ジャッジメント)の、厳かな響きだけど……、満足したような声が帰ってきた。

第二十七話「審判者の問い―新たに示された道―」→←▼

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