エピソード51 ページ8
――明兄の部屋を出てから、6時間。
朝に引き続き、武器庫の横に設けられた、帳簿の保管室に籠り、ここ一ヶ月の武器の流れや、今後の予定について、こと細かに書類にしたためた。
昼食をとる以外は、ひたすら筆を動かし続けたかいあって、なんとか形になった。
「……よし!」
私は書きあげた書類を満足げに両手で掲げて見せる。
書類の枚数は、50枚に迫ろうかという勢いである。
もちろん、忙しい時に、この枚数をいちいち確認するのは辛いだろう。
きちんと内容を要約した2枚ほどのレジュメも用意した。
短時間で、良くここまでまとめ上げたものだ……そう、自分で自分を褒めたい気持ちになった。
室内に設けられた小さな窓から、茜色の光が差し込んでいる。
いつの間にか、夕暮れ時になっていたようだ。
もうすぐ、就業の鐘が鳴るだろう。
(……早いとこ、明兄にこれを渡しに行かないと!)
私は再び次兄の執務室へと向かった。
*
兄の部屋の前に着いた瞬間、内側から扉が開かれた。
???「!!」
「あ……」
扉を開けたのは、私より少し身長の高い、明るい赤髪の少年。――明日、私とともに北東郡に向かう予定の三番目の義兄だった。
「……紅覇お兄ちゃん」
お兄ちゃんが、驚いた目で私を見降ろしている。
覇「……」
「……」
(えっと……)
――何で無言なのだろう。いつもなら、会えば何かしら私に意地悪をするのに。
「あ、あの……」
紅明お兄ちゃんの部屋から出てきたってことは、明日、私と北東郡にいく話はもう聞いている筈だ。……しばらく、二人旅をするのだから、ちゃんと挨拶しておこう。
「えーと、紅明お兄ちゃんから聞いたと思うんだけど、明日から一緒に北東郡に行くことになるから……宜しくお願いします」
ぺこり。
書類を両手で抱えたまま、45度の深いお辞儀をする。
覇「あはは、なーに、改まってんの?」
明るい声音が、頭上から降ってきた。
同時に頭をがしがしと撫でられる。
「……」
顔をあげると、紅覇お兄ちゃんは優しげな瞳で笑っていた。
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一花(プロフ) - 練 雛姫さん» いえいえ(^^) こちらこそ、有難うございます。これから、宜しくお願いしますね! (2014年7月27日 19時) (レス) id: aa8e4f9320 (このIDを非表示/違反報告)
練 雛姫(プロフ) - 一花さん» 出来ました!有り難う御座います!!これから宜しく御願いします(*^▽^)/ (2014年7月26日 22時) (携帯から) (レス) id: 6f946666e9 (このIDを非表示/違反報告)
一花(プロフ) - 練 雛姫さん» いえいえ! 雛姫さんの、こみゅ〜のページで、「友達リスト」をクリックすると、申請者に、きっと一花がいるはずなので、許可をぽちっとしてやってください(^^) (2014年7月26日 21時) (レス) id: aa8e4f9320 (このIDを非表示/違反報告)
練 雛姫(プロフ) - 本当に申し訳無いのですが友達申請ってどうすれば受理できるのですか?(;_;) (2014年7月26日 12時) (携帯から) (レス) id: 6f946666e9 (このIDを非表示/違反報告)
一花(プロフ) - 練 雛姫さん» そ、そこまで喜んでくださると、本望です。アカウントをお持ちだったようですし、友達申請出しますね。独り言だらけですが、宜しければ、受理してくださいませ! (2014年7月25日 15時) (レス) id: ab2859cca3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:一花 | 作成日時:2014年4月6日 19時