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エピソード92 ページ49

「……相手が何か要求してくるとして、現場の様子を何も知りませんじゃ話にならないでしょ」

覇「……。お前、色々考えるようになったんだね」

「あはは、伊達に、明兄の下についていませんから!」

えっへん、と笑顔で胸を張って見せた。

覇「それも炎兄のため?」

「もちろん!」

覇「……そう」

満面の笑顔の私。
今度はお兄ちゃんの方が呆れ顔。
ま、いいけどね〜、とため息をつかれた。
瞬間。




ドサッ。




大きな音がする。
……先ほど通っていた道に、白い塊が落ちてきた。
白の中に、暗い灰色がかった茶が見える。
雪の重みで、右上にあった木の枝の一部が折れたらしい。

「あーあ。これじゃ、ここら辺一体の果物は……来年は実りにくいかもしれないね」

覇「果物?」

何気なく放った一言。
それに兄が質問を返してきた。

「これ、リンゴの木だよ」

覇「へぇ!」

物知りだね〜、と感心そうに頷く兄。
……兄は北東郡のことは調べてこなかったのだろうか。

北東郡は寒冷地ならではの果物……リンゴを名産としている。
また、長く雪に閉ざされる土地柄、室内での芸事が盛んであり、書や絵画など、新しい文化も生まれやすい。
勤勉な人間性も有名で、煌帝国に降ってからは、優秀な文官も多く輩出している。

(……あとは、米を作ってるんだっけ)

主食の米は地産地消をしているそうだ。
そして、リンゴと合わせて税としても納める。


でも。

(……こんなに雪があったら、雪解け水が田畑に流れ込みすぎるんじゃないかな)

稲作には水が不可欠だ。冬の間に積もった雪は、雪解け水として、北東郡を潤す。
だが、物事には、なにごとにもちょうどいい量がある。水が多すぎれば、せっかく植えた稲の根も腐ってしまう。

「こんだけ雪があったら、雪解け後の農作業も大変そう……」

覇「確かに。不公平だよねぇ」

「え?」

覇「砂漠みたいに、水が全然ないとこもあるのに、あるところには、逆にありすぎるなんてね〜」

(……水があるところと……「ない」ところ?)

私の何気ない言葉に、兄も何気なく返す。
……私はその一言が、妙に心に引っかかった。
でも。
それが何なのか分からない。
何か閃きそうで。
もうひと押し、あと少しでいいからヒントが欲しい。……そんな感じ。
だから。

「……確かに」

私はそのヒントを頭の中で必死に探りながら、独り言のように頷いた。
だけど。
兄は相変わらず能天気な声。

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設定タグ:マギ , 練紅炎 , 煌帝国   
作品ジャンル:アニメ
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一花(プロフ) - 練 雛姫さん» いえいえ(^^) こちらこそ、有難うございます。これから、宜しくお願いしますね! (2014年7月27日 19時) (レス) id: aa8e4f9320 (このIDを非表示/違反報告)
練 雛姫(プロフ) - 一花さん» 出来ました!有り難う御座います!!これから宜しく御願いします(*^▽^)/ (2014年7月26日 22時) (携帯から) (レス) id: 6f946666e9 (このIDを非表示/違反報告)
一花(プロフ) - 練 雛姫さん» いえいえ! 雛姫さんの、こみゅ〜のページで、「友達リスト」をクリックすると、申請者に、きっと一花がいるはずなので、許可をぽちっとしてやってください(^^) (2014年7月26日 21時) (レス) id: aa8e4f9320 (このIDを非表示/違反報告)
練 雛姫(プロフ) - 本当に申し訳無いのですが友達申請ってどうすれば受理できるのですか?(;_;) (2014年7月26日 12時) (携帯から) (レス) id: 6f946666e9 (このIDを非表示/違反報告)
一花(プロフ) - 練 雛姫さん» そ、そこまで喜んでくださると、本望です。アカウントをお持ちだったようですし、友達申請出しますね。独り言だらけですが、宜しければ、受理してくださいませ! (2014年7月25日 15時) (レス) id: ab2859cca3 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:一花 | 作成日時:2014年4月6日 19時

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