エピソード91 ページ48
*
――山に入って2日が経った。
安定した天候に恵まれて、旅程は順調。
3日目の今日も天気は快晴。
おかげで、夕刻までには目的地に到着できそうだ。
そう思いながら天(そら)を仰ぐ。
白い太陽が煌々と輝いている。
馬の歩みを少し緩めて、これから進む道の先を見る。
なだらかだけど、とても狭い。右は少し高い位置に、雪の積もった木々。
反対側は……崖路だ。
落馬したら、怪我じゃ済まない。
(……気をつけなくちゃ)
そう思いながらも、太陽の光が、辺りの雪を反射する景色には心が躍る。
真っ白な道が、きらきらと白銀に輝いて、とても綺麗だ。
そんなことを思っていると。
覇「ねぇ。さむいんだけどぉ!」
狭い道。
馬が並んで歩くのも少し難しい。
だから。
もしも、私が馬から落ちたときに対処できるよう、背後から着いてきてくれている義兄の声がした。
「雪山なんだから、当たり前でしょ!」
私は前に進みながら、後ろは振り返らずに答える。
覇「大体、なんで馬なんだよぉ」
おえっと、顔をしかめる兄の顔が想像できて。
いったん馬をとめた。
そして、同じく馬をとめる兄に振りかえる。
「……この細い道を、馬車で通れると?」
覇「じゃあ、絨毯にすればいいじゃん」
「お兄ちゃん、絨毯嫌いじゃなかった?」
覇「確かに服は汚れるけど、それは今も変わらないしぃ」
このマントのおかげで、今は汚れないで済んでるけどぉ、と私があげたマントに視線を落とした兄。
……山に入ってから、兄はずっとマントを使ってくれていた。
それでも寒いのだ。
私も羽織をはおっているけど、少し寒い。
――とはいえ。
そんな思いをしてでも、敢えて馬で山を越えているのには訳がある。
「空からじゃ、地上の様子が分からないじゃない」
少し呆れ気味に、溜息を混じらせていった。
覇「地上の様子ぅ?」
顔にはてなマークを浮かべるお兄ちゃん。
まさか。
わざわざ好き好んで、この雪の残る山道を馬で越えているとでも思っていたのだろうか。
毎晩の宿泊場所まできっちり地図に書いて渡してくれる……過保護な明兄。
そんな次兄が、訳もなく弟妹に馬で雪山を越えさせるわけがない。
「そう! 関所の話も聞くけど、実際、現地がどうなってるか見るのもお仕事なの!」
少し得意げに言った。
覇「へぇ? そうなんだ」
(……本当に、分かってなかったのかな)
興味深そうに、……首をかしげる紅覇お兄ちゃんがそこにいた。
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一花(プロフ) - 練 雛姫さん» いえいえ(^^) こちらこそ、有難うございます。これから、宜しくお願いしますね! (2014年7月27日 19時) (レス) id: aa8e4f9320 (このIDを非表示/違反報告)
練 雛姫(プロフ) - 一花さん» 出来ました!有り難う御座います!!これから宜しく御願いします(*^▽^)/ (2014年7月26日 22時) (携帯から) (レス) id: 6f946666e9 (このIDを非表示/違反報告)
一花(プロフ) - 練 雛姫さん» いえいえ! 雛姫さんの、こみゅ〜のページで、「友達リスト」をクリックすると、申請者に、きっと一花がいるはずなので、許可をぽちっとしてやってください(^^) (2014年7月26日 21時) (レス) id: aa8e4f9320 (このIDを非表示/違反報告)
練 雛姫(プロフ) - 本当に申し訳無いのですが友達申請ってどうすれば受理できるのですか?(;_;) (2014年7月26日 12時) (携帯から) (レス) id: 6f946666e9 (このIDを非表示/違反報告)
一花(プロフ) - 練 雛姫さん» そ、そこまで喜んでくださると、本望です。アカウントをお持ちだったようですし、友達申請出しますね。独り言だらけですが、宜しければ、受理してくださいませ! (2014年7月25日 15時) (レス) id: ab2859cca3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:一花 | 作成日時:2014年4月6日 19時