エピソード87 ページ44
(……まぁ、確実に私をからかって楽しんでるよね)
そんなことを考えながら、店々を回っていると。
ある布が目に入った。
――厚手の深紅の布。
(……横幅は紅覇お兄ちゃんの身長よりちょっと短いくらい?)
でも、縦幅が長いから、すっぽり兄を包み込むことが可能だろう。
……そこまで考えて。
ふと。
気になっていたことを兄に聞くことにした。
本当は旅が始まってからずっと気になっていたことを。
「明日から、山に入るけど、お兄ちゃんその露出の多い服で大丈夫?」
覇「えー。あんまり、着込んだら汗かくしぃ」
「いや、明日から越えるのは雪山ですよ」
本当に大丈夫ですか? そう目で問う。
私の眼差しに苦笑した紅覇お兄ちゃんは、あっけらかんと答えた。
覇「うーん。ま、いざとなったら、寝袋でも羽織るよ」
(……なんでそんなところだけ、男らしく大雑把なんですか)
呆れて言葉も出なかった。
「すみませーん」
私はお兄ちゃんの答えは聞かなかったことにして、その店のおじさんに声をかけた。
「この布ください」
私は先ほどの深紅の布を指差した。
店主「あいよ。3000煌(ファン)だよ!」
「はい!」
私は炎兄から貰った鏡を挟んだ帯に手を入れる。
浅黄色の折り畳み式の小さな布のお財布。
明兄が用意してくれたお金とは別に持ち歩いていた、……私の働きの対価として日々貰っては貯めていたお金の一部を入れてきた。
そこから言われた額の紙幣をとりだす。
店主「あんがとね!」
お金と引き換えるように、折り畳んだ紅い布を薄い白い紙に包んで渡してくれた。
「ありがとう!」
私はそれを笑顔で受け取った。
そしてそのお店を離れて。
ちょうど店と店の間。ぽっかりと空いていて何もない空間を見つけて、そこで立ち止まる。
「これ、マント代わりに羽織ってください」
私は先ほど手に入れたばかりの布の入った包みを兄に差し出した。
覇「……え……」
目をぱちくりさせて、ぽかんと口を空ける兄。
「あ、お金のことは心配しなくていいよ。これは私がちゃんとお仕事して、対価で貰ったお小遣いで買ったものだから!」
明兄の旅資金には手をつけることはしないから! そう言って微笑んだ。
覇「いや、そうじゃなくて……」
「? 何か問題ある? お兄ちゃん赤色、好きだよね?」
名前にも「紅」ってつくし。
……良いか悪いかは別にして、血を見るのも結構好きだって知ってるし。
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一花(プロフ) - 練 雛姫さん» いえいえ(^^) こちらこそ、有難うございます。これから、宜しくお願いしますね! (2014年7月27日 19時) (レス) id: aa8e4f9320 (このIDを非表示/違反報告)
練 雛姫(プロフ) - 一花さん» 出来ました!有り難う御座います!!これから宜しく御願いします(*^▽^)/ (2014年7月26日 22時) (携帯から) (レス) id: 6f946666e9 (このIDを非表示/違反報告)
一花(プロフ) - 練 雛姫さん» いえいえ! 雛姫さんの、こみゅ〜のページで、「友達リスト」をクリックすると、申請者に、きっと一花がいるはずなので、許可をぽちっとしてやってください(^^) (2014年7月26日 21時) (レス) id: aa8e4f9320 (このIDを非表示/違反報告)
練 雛姫(プロフ) - 本当に申し訳無いのですが友達申請ってどうすれば受理できるのですか?(;_;) (2014年7月26日 12時) (携帯から) (レス) id: 6f946666e9 (このIDを非表示/違反報告)
一花(プロフ) - 練 雛姫さん» そ、そこまで喜んでくださると、本望です。アカウントをお持ちだったようですし、友達申請出しますね。独り言だらけですが、宜しければ、受理してくださいませ! (2014年7月25日 15時) (レス) id: ab2859cca3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:一花 | 作成日時:2014年4月6日 19時