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エピソード85 ページ42

覇「お前が炎兄以外を気にかけるなんてね〜」

ほーぉ?、と興味深げに顔をのぞきこまれた。

「失礼な。私は炎兄が大好きだけど、基本的に城の皆が大好きよ」

言いながら、お漬物のお饅頭の残りを一気に口へ。
お饅頭は少し冷めてちょうど良い温かさ。……凄く食べ易い。

(……うん。やっぱり美味しい。……今度私も作ってみようかな?)

そんな私の考えはよそに。
最後にとっておいた餡子の揚げ饅を半分に割って、私に手渡してくれながら兄が言う。

覇「その割に、よく「嫌いになります」とか言ってない?」

(……その原因は誰ですか)

気にせず、私は お饅頭にかぶりついた。

「うーん! やっぱり餡子は最高!!」

さくさくの歯触りとフワフワの衣に包まれた餡子。
こし餡だった。滑らかな舌触りと、ほのかな甘み。

「お兄ちゃん、ありがとう!」

口をもぐもぐさせながら言った。

覇「なんか、上手いこと話しそらされた気がするんだけどぉ」

兄は少し不満そう。

「あはは、気のせいだよ!」

大好物のお陰で上機嫌になった私は明るく言った。

「ま。いいけどねぇ」

やれやれ、と兄も最後のお饅頭にかぶりついていた。


ふと。

饅頭を食べる兄の奥の景色が目に留まる。
メインの市場を外れた場所。――路地裏にも店があったことに気づいた。
遠目から見る限り、布を商うお店がいくつか並んでみえる。

「ねぇ、少しあっちにいってみてもいい?」

私は目で路地の奥の店を追ってみせた。
それから上目づかいで兄を見た。

覇「はいはい、いいよ。お姫様の仰せのままに」

投げやりな返事だけど、了解してくれた。
紅覇お兄ちゃんはなんだかんだと、私の我儘を聞いてくれる。
なかなか「駄目!」っていうことがない。

「えへへ。ありがとう!」

甘やかされるのはやっぱり嬉しい。
だから笑顔で、自らお兄ちゃんの腕を引っぱって、目的の路地にへと入った。
紅覇お兄ちゃんは、やれやれとため息をつきながらも、黙ってついてきてくれた。
一番市場の通りに近いお店に着くころには、揚げ饅も食べ終わっていて。

「――わぁ! 可愛い!!」

私は、一枚の布に目を奪われた。

温かみのある紅い縮緬の生地に、沢山の白い小花が散らされた布。
花の縁は金糸で縫われ、アクセントになっている。

覇「……お前って、こういうの興味あったの?」

兄が然も意外そうに、私を見降ろす。

(……。しっつれいな)

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設定タグ:マギ , 練紅炎 , 煌帝国   
作品ジャンル:アニメ
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一花(プロフ) - 練 雛姫さん» いえいえ(^^) こちらこそ、有難うございます。これから、宜しくお願いしますね! (2014年7月27日 19時) (レス) id: aa8e4f9320 (このIDを非表示/違反報告)
練 雛姫(プロフ) - 一花さん» 出来ました!有り難う御座います!!これから宜しく御願いします(*^▽^)/ (2014年7月26日 22時) (携帯から) (レス) id: 6f946666e9 (このIDを非表示/違反報告)
一花(プロフ) - 練 雛姫さん» いえいえ! 雛姫さんの、こみゅ〜のページで、「友達リスト」をクリックすると、申請者に、きっと一花がいるはずなので、許可をぽちっとしてやってください(^^) (2014年7月26日 21時) (レス) id: aa8e4f9320 (このIDを非表示/違反報告)
練 雛姫(プロフ) - 本当に申し訳無いのですが友達申請ってどうすれば受理できるのですか?(;_;) (2014年7月26日 12時) (携帯から) (レス) id: 6f946666e9 (このIDを非表示/違反報告)
一花(プロフ) - 練 雛姫さん» そ、そこまで喜んでくださると、本望です。アカウントをお持ちだったようですし、友達申請出しますね。独り言だらけですが、宜しければ、受理してくださいませ! (2014年7月25日 15時) (レス) id: ab2859cca3 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:一花 | 作成日時:2014年4月6日 19時

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