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エピソード75 ページ32

早春の朝の空気は澄んでいて、硬質。
大きく息をすると、凛と冷たい空気が肺を満たす。
吐き出す息が、時々白くなる。
……少し肌寒い。
けど、風はない。彩凛のかけてくれた羽織のおかげで、そこまで寒くはない。
刻一刻と変わる空の色。
群青がどんどん明るい空色になっている。
今日は薄曇りで来光は見えないけれど、たぶん太陽が上がりきるのも近い。
ひんやりとした空気に、少しずつ、温度が加わるのが、皮膚に伝わる。
足早に歩いて、東門に着いたころには、すでに私の体は温まっていた。




朝が早いにもかかわらず、そこには何人かの兄姉達がすでに揃っていた。

明「おはようございます」

朝が早いにもかかわらず、明兄が正装で、私を迎える。

(――いつも、こんな風に自活してくれたらいいのに)

そう思って、兄の顔を見ると、目には隈。

(いや、寝てないでそのままやってきた、って感じね)

良く見ると、服の裾に皺。……はぁ、とため息がでる。
こんな日も、明兄は相変わらずだ。

「おはようございます」

でも、義妹を見送るために待機していてくれたことが嬉しくて、苦笑しながらも、丁寧にお辞儀した。
すると、タタタ、っと軽い足取りで私に近寄ってくる少し年上の少女。……玉姉が槍を持ってない方の私の手をぎゅーっと握り締めてくる。

玉「A! 急な出発で寂しくなるわぁ……」

「ありがとう、お姉ちゃん。なるべく早く帰ってくるよ!」

――帝都から、北東郡の関所へは、速馬で2週間弱。
往復で1ヶ月ほど。
大丈夫。紅玉お姉ちゃんがバルバッド入りするまでには絶対に帰ってこれる。
きっと不安なはずのお姉ちゃんがバルバッドに行く前には傍にいたい、そう思うから。

ぎゅっと、お姉ちゃんが握ってくれた手を握り返して、少し潤んだ姉の瞳を見つめ返す。
すると、背中に自分の身長くらいありそうな刀……金属器を背負った紅覇お兄ちゃんが、ツカツカと歩み寄ってきた。
その後ろで三人の従者が「行かないでくださいーー!」と膝をついて、お兄ちゃんに向けて手を伸ばしている。

が。

覇「お前、遅いよ!」

従者達の嘆きは無視して、紅玉お姉ちゃんと私との間に、にゅっと顔を割り込ませてきた。
不機嫌そうな顔でおでこを指ではじかれる。

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設定タグ:マギ , 練紅炎 , 煌帝国   
作品ジャンル:アニメ
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一花(プロフ) - 練 雛姫さん» いえいえ(^^) こちらこそ、有難うございます。これから、宜しくお願いしますね! (2014年7月27日 19時) (レス) id: aa8e4f9320 (このIDを非表示/違反報告)
練 雛姫(プロフ) - 一花さん» 出来ました!有り難う御座います!!これから宜しく御願いします(*^▽^)/ (2014年7月26日 22時) (携帯から) (レス) id: 6f946666e9 (このIDを非表示/違反報告)
一花(プロフ) - 練 雛姫さん» いえいえ! 雛姫さんの、こみゅ〜のページで、「友達リスト」をクリックすると、申請者に、きっと一花がいるはずなので、許可をぽちっとしてやってください(^^) (2014年7月26日 21時) (レス) id: aa8e4f9320 (このIDを非表示/違反報告)
練 雛姫(プロフ) - 本当に申し訳無いのですが友達申請ってどうすれば受理できるのですか?(;_;) (2014年7月26日 12時) (携帯から) (レス) id: 6f946666e9 (このIDを非表示/違反報告)
一花(プロフ) - 練 雛姫さん» そ、そこまで喜んでくださると、本望です。アカウントをお持ちだったようですし、友達申請出しますね。独り言だらけですが、宜しければ、受理してくださいませ! (2014年7月25日 15時) (レス) id: ab2859cca3 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:一花 | 作成日時:2014年4月6日 19時

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