全部好き。【黄瀬涼太】

LikeAbout１７　訪問 ページ17

涼太side



カノジョに決意表明してから、オレは道場へ行かなくなった。



自分の中でけじめをつけたい…と言うか、相手に生温い気持ちでいる…と悪い印象を与えたくなかったんス。





そんな折、夏休みを前にして…



北湘高校の道場が完成。
Aちゃんはウチへ来なくなった。



こうなっては…
試合を観に来て欲しくても、声を掛けられない。



連絡先聞いとけば良かったっス…



気は大分引けるけど、話をしにカノジョの元へ行こう。





『…キレイな学校っスね』





校門前から校舎を見上げた。



深呼吸して、躊躇せず一歩一歩前進。



下校する生徒の注目を浴びても気にしない。





茜「あれ？黄瀬君…」

『！？…どうもっス』





Aちゃんを見つける前に茜ちゃんと遭遇。





茜「Aを探してるの？」

『ハハッ…』

茜「あの子なら水道へ顔を洗いに行ったよ」

『ありがと。行ってみるね』





休憩中か…



タイミング、かなり良くない？！





『すみませんが…夏休みも部活があるので、行けないと思います』

男「堅いこと言わないでさぁ。たったの１日だよ？休んでもいいじゃん」





探し始めてすぐ…カノジョを発見。



如何にも軽そーな男と一緒っス。



…割って入ろう。
絶対にフォローすべきだ。





『はいはい、それ位にしとけば？カノジョ、困ってるっスよ？』

『！？あっ…』

男「その制服…海常？何でウチにいんだよ！」

『散歩っスよ、さ・ん・ぽ！』

男「チッ…」





オレに怖じ気付いたのか、舌打ちしてアッサリ去ってしまった。





『黄瀬君…散歩って？』

『ククッ、冗談っス』

『冗談？』

『…んな事よりも、今の何スか！』

『あー、これこれ…海の家のキャンペーン。ビキニ着用で利用すると割引になるらしくて…あの人、売りに来たみたい』

『…行くんスか？』

『まさかぁ…部活だもん』

『そうっスよねぇ』





話を聞きながら、ビキニ姿のカノジョを想像。



整った顔が徐々に崩れてるかもしれない。





『…瀬君？…黄瀬君！』

『！？んっ、あぁ…』

『１人で何しに来たの？』

『あっ、えーと…』





ヤベッ！



伝えなきゃいけない事があったんだ。



…だけど、その前に一言言わずにはいられない。





『少し前に…『恋してるかもしれない』って言ったの…気にして欲しいっス！』

『…？』





思わず嫉妬から出てしまった本音。



あぁ…
段々、カノジョに夢中になってるっス…

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