恋してしまった、その瞬間…【赤司征十郎】

９seconds・合宿開始 ページ9

征十郎side



IH前の合宿。



洛山高校バスケ部は、遠征先のホテルに到着。



２泊３日という、ぎっちり組まれたスケジュールに部員全員、耐えられるかどうか…





葉山「荷物下ろすの手伝うよ」

果子「ありがとうございます」

『コタってば…こっちだって沢山あるのにー』





１年生部員とマネージャーは、バスから荷物を下ろす作業中。



小太郎は相変わらず水山さんに甘くて、日野さんを放置。





見るに見兼ねないな…





『…日野さ…実渕「Aちゃん、手伝うわよ」

『実渕先輩…』

『！？』

実渕「か弱い女の子に重い物を持たせられないでしょ」

『ありがとうございます。助かります』

実渕「いいえ。あっ、それから…【実渕先輩】なんて堅い呼び方しないで」

『えっ…』

実渕「そうねぇ…出来たら、下の名前で。【玲央さん】はどう？」

『はい。で、では…玲央さん』

実渕「フフッ…」





声を掛けようとするも、紳士的な？玲央に先手を打たれてしまった。



案外、カッコ悪い。





実渕「あら、征ちゃん。突っ立って何してるの？Aちゃんを手伝って！」

『あぁ…』

『赤司君もごめんね』

『いや…手伝うつもりだったから、気にしないでくれ』





俺はバスから荷物を取り出し、玲央の後ろにつく。



玲央は後方を見て、微笑を浮かべた。





実渕「征ちゃん、悪いことしちゃったかしら？」

『何がだ？』

実渕「分かってるくせに。征ちゃんも私と一緒ね」

『…一緒？』

実渕「好みのタイプが！」

『れ、玲央！？』





この手においては、彼は敏感だと思う。



まだ誰にも、胸の内を悟られていないと思っていたが…



もしかしたら、時間の問題かもしれないな。





『…あか…赤司君？』

『…！？』





これ以上、構われるのは御免だと思っていた矢先…



今度は彼女が話し掛けてきた。





『主将は、先頭を歩かなくて良かったの？』

『問題ないし、大丈夫だ』

『そう…』

『こういう時、マネージャーは部員を頼っていい…それがスタメンでもな。実際、根武谷は荷物持ちに適任だろ？』

『それは…うーん…失礼だけど、そうかも』

『フッ…』





近くに根武谷がいないことを確認して、苦笑する彼女。



こんな仕草に、心がほっこりするのだろうな。





ただ…



それとは別に、先を行く小太郎を見つめる視線が気になってしまった。



やはり、小太郎に気持ちがあるのか？

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