恋してしまった、その瞬間…【赤司征十郎】

２５seconds・嘘か真か ページ25

YOUside



さっきの赤司君の発言に、まだ胸騒ぎが収まらない。



『僕の恋人』だなんて、どういう意図で言ったのだろう。



本人に聞いてみたいけど、顔を見て言えないような気がして聞けない。





実渕「Aちゃん、お疲れ様」

『お疲れ様です』

実渕「寮まで一緒に帰らない？」

『はい…お願いします』

葉山「レオ姉、何誘ってんだよー。オレも帰るぞー」

実渕「アンタは邪魔！アタシは２人きりで帰りたいの！」

『ハハッ…』





玲央さんとコタの掛け合いは、見ていて飽きない。



輪の中に入って笑いたいけど…



赤司君と話がしたい。





辺りを見渡すと、校門の前に１台の高級車が停まっていた。



目を凝らした先に、以前挨拶した土浦さんの姿がある。



…ということは、赤司君のお迎えかな？



私は土浦さんに向かって会釈をした。





土浦「日野様！」

『…？』





私に気付いた彼は、校内へ歩を進ませる。





土浦「先日は征十郎様の為に、どうもありがとうございました」

『いえ…私は何も…』

土浦「そんなことはありません。征十郎様にとって、それはもう…」

『土浦…余計なことを喋らないでくれ』

土浦「せ、征十郎様！？お、お帰りなさいませ」

『自分の足で帰るから、迎えはいいのに…』

土浦「ですが、今夜は旦那様が此方に来られるので…」

『分かったよ』





呆れて溜め息をつく赤司君。



私の前に現れてくれたのはいいけど、なかなか話を切り出すタイミングが掴めないよ。





土浦「では、参りましょうか」

『あぁ…皆、お疲れ様』

実渕「征ちゃん、明日ね」

葉山「じゃあな、赤司」

『…赤司君！』

『…？』





背中を向ける彼に、思い切って声を掛けてみる。



そ、そうだ…
何となく聞けばいいんだよね！





『『僕の恋人』って、一体…』

『…』





コタたちの冷やかしを懸念して、敢えて小声で尋ねた。





『私が困ってたから嘘を…？』

『フッ…もし、嘘じゃなかったら？』

『えっ…』

『日野さんにとっては迷惑？』

『…』





正直、答えになってない気がする。



今すぐ、彼の脳内を探ってみたい。



本気なのか…



冗談なのか…





『ただ、モヤモヤしたんだ…』

『赤司君…』





最後にそう言い残し、目を合わさずに私の元を去ってしまった。





私を見て、モヤモヤって…



まさかね。

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