恋してしまった、その瞬間…【赤司征十郎】

１６seconds・大切な落とし物 ページ16

YOUside



『思い切って告白したけどフられちゃったぁ…』



果子ちゃんの口から出た、突然のカミングアウト。



彼女は私の知らぬ間に、赤司君へ告白を実行。



よく話もするし好感触だと勝手に思っていたけど、当の赤司君は恋愛に興味がないらしい。



納得のいかないフられ方だったのかも。





しかし…



形では悲しい結果でも、相手に好きな子がいるのといないのでは全く違う。



十分に望みはある訳で…



果子ちゃんもそれに気付き、前向きな表情をしていた。





そんな彼女に安心しているけど…



事実をコタが知ったら、どう思うだろうか？



一方で、彼の気持ちが気になってしまった。



私がコタに言われたように、厳しい現実を告げられたら凹むのでは？



赤司君との関係がギクシャクする恐れもある。



幸い…



周りが口の軽い人たちではないから、いがみ合うことはないと思えるのが救いだ。





こうして、複雑な四角関係に頭を悩ませて１日を過ごした。





放課後…



練習が終わる直前のこと。
急に激しい雨が降り出す。





『雨足が強いから、気をつけて帰るように』





いつもと同じように、赤司君が締めの言葉を言った。



仕事をしつつ気に掛けて見ていたけど、果子ちゃんへの接し方は至って何も変わらない。



さすがと言うべきか、侮れないな。





果子「着替えよう？」

『うん』





片付けをして、女子更衣室で帰り支度を始める私たち。



鞄の中に荷物を詰めていた最中、違和感がした。





『…あれ？！』

果子「どうしたの？」

『私の鞄についてるお守り知らない？』

果子「確か…Aちゃんが大事にしてる…」

『何処かに落としちゃったのかな…どうしよう』

果子「探すの手伝おうか？」

『ありがとう…けど、宛がない訳じゃないから１人で探してみる』





あれは、コタに貰った大事な物。



どうして、今まで気付かなかったの？



変な汗が出てきて、気持ちも一気にブルーになる。





ここで素直に果子ちゃんへ協力を仰ぎたいけど、頼りたくない気持ちが沸々と…



コタが想いを寄せる彼女に、お守りを触らせたくない。



嫉妬と卑屈が心の片隅で渦巻いていた。





お守りがないと、私は…



本当に彼との繋がりを感じられなくなってしまう。





『果子ちゃん、ごめん！先に帰ってて！』

果子「えっ？！」





気にすればする程、居ても立ってもいられなくなり…



勢いよく更衣室を飛び出していた。

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