恋してしまった、その瞬間…【赤司征十郎】

１１seconds・救われた言葉 ページ11

YOUside



合宿中唯一の息抜きである、花火大会の夜…



部員たちは、皆して浴衣に身を包んでいた。





葉山「浴衣可愛い！」

果子「ありがとうございます」

葉山「赤司もそう思わない？」

『…』

果子「赤司君…」





コタは果子ちゃんの浴衣姿に、目を輝かせて誉めている。



艶やかに着こなす姿は、同性が見ても文句一つつけようが無い。





でも、多少なりとも嫉妬は渦巻く。



私だって、時間を掛けて浴衣を選んだのに…



お世辞でもいいから持ち上げて欲しいな。





実渕「Aちゃんも、とっても可愛いわ」

『あ、ありがとうございます！』

実渕「小太郎！アンタ、Aちゃんにも言葉を掛けなさいよ」

葉山「オレが？うーん…」





コタは私をじっと見つめる。



期待してもいいよね…？



固唾を飲んで様子を伺う。





葉山「今日だけ特別な雰囲気が出て良いじゃん」

『え？』





『特別な雰囲気』って、何よ？



それは誉め言葉なの？





実渕「バカ！もっと気の利いた台詞が言えない訳？」

葉山「思ってることを言っただけじゃんかぁ！」

実渕「全く…女心が分からない男は最悪ね」

葉山「レオ姉だって、戸籍ではおと…実渕「口を慎みなさい！」





ひょんなことから、２人は口論になってしまった。





一方の私は、かなりのダメージ。



早く立ち直らなきゃ…





『２人共、そこまでにしろ。置いてくぞ』





すると、これまで黙っていた赤司君が仲裁に入った。





実渕「征ちゃん！」

葉山「邪魔すんなよ、赤司」

『お前たちのくだらない口論のせいで、部員のテンションが下がってるのに気付かないのか？』





ピシャリと言われて、コタは舌打ちする。



年下でも逆らえないようだ。





『…日野さん』

『…？』

『浴衣…凄く似合ってる』

『！？』

『皆で夜店を回ろう』





さり気なく私の隣に来て、物静かに誉めてくれる赤司君。



言われた瞬間、本能的に胸が高鳴った。



彼の優しさに、心が揺れたんだと思う。





『ほ、誉めてくれてありがとう。お世辞でも嬉しい…』

『お世辞じゃない。俺は正直に言ったまでだよ』

『…赤司君』

『…で、気になる店はあった？』

『う、うん』





私は寄りたい夜店の方向を指さす。





コタの言葉に凹んでいた気持ちを、赤司君が救ってくれたね…



ありがとう。

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