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「間に合う？」
「星もお皿も服もないのに、何言ってんだよ！」
クラスの何人かが反論してきたけど、私は続けた。
「星はまた作ればいい。お皿は私が帰りに買って明日持ってくる。服は…どう？」
「間に合う、いや、間に合わせる」
佳乃の頼もしい返事を受け、私は続けた。
「ほら、間に合うよ」
「でも、折り紙がもうないんだよ。のりもないし…」
「買いに行きゃいいだろ！」
1人の男子が声をあげた。
「俺、超特急で買ってくる！」
言うが早いか、財布と携帯を持って教室を飛び出していった。
あっけにとられていた私に、数人の女子が話しかけてきた。
「何か出来ることあるかな…？」
「えっと、そうだ、佳乃と一緒に服を作ってほしい！」
「わかった！」
その子たちを皮切りに、次々と声が上がった。
武藤くんが指示を出してみんな動き始めた。
嫌な空気は消えて、全員が作業をしていた。
武藤くんは私に言ってきた。
「上野、すまんな。俺、あんばいよういかなくてイライラしとった」
「私こそ、さっきは遮っちゃってごめんね」
「かまへんよ」
「よし、私たちもやろう！」
作業を始めて1時間ほど経った頃だった。
「佳乃、大丈夫！？」
声のほうを見ると、佳乃が青白い顔をしていた。
私は佳乃に駆け寄った。
「貧血？」
佳乃は頷いた。
「保健室行こう？歩ける？支え…」
そのときだった。
武藤くんが佳乃をお姫様抱っこしたのだ。
「上野がクラスにいたほうがええ。俺が連れて行くわ」
そう言って私の返事を待たずに教室を出ていった。
教室がざわつき、変な空気になりつつあるのがわかった。
佳乃に嫌な気持ちになってほしくはなかった私は、みんなの意識を文化祭に戻そうとした。
「あと1時間、気合い入れて行こう！」
私の声に反応して、みんなは再び作業を始めた。
まあ武藤くんが教室に戻ってきたときは質問の嵐だったけど笑
ーこのときは、1カ月後、佳乃から恋愛相談を受けることになるとは全く考えていなかったー
何とか間に合ってよかったよ…。
そう心の中で呟いた。
翔は日頃の疲れからか、よく寝ている。
入り時間までは余裕がある。
少し遠回りしてスタジオへ向かった。
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作者名：なつらい | 作成日時：2018年8月5日 17時
