【鬼徹】憎しみの欠片【鬼灯】

地獄手記/参 ページ4

鬼灯side



あの人が、私を憎んでいるのはわかっている。




私が、大昔に【丁】という名の人間として生きていた頃、Aさんと私は同じ村の住人でした。

Aさんはみなしごの私にも積極的に話しかけてくれて、居場所をくれました。



しかし、とある年大干ばつが起きたのでした。

日は照り、土を乾かし、人も死んだ。
村人が下した方法は神への生贄を捧げるということ。


どの子供を生贄にするかでもめにもめ、結局もともと村の住人ではなく、みなしごであった私が、生贄に決まりました。


私は悲しくはありませんでした。


最期にAさんが、私の名を呼んでくれたのですから。

最初で最期に、私のために泣いてくれたのですから。



私は『死後村の人間になんらかの制裁をくわえる』と言いましたが、Aさんにはしないよう、覚えていたのでした。




しかし、黄泉の国で再開した彼女は、変わり果ててしまいました。


誰からも好かれ、優しい彼女はどこにもおらず。
ただただ私に対しての憎しみを、吐き出していたのでした。



何が彼女をそうさせたのか、調べてみたらすぐにわかりました。

私自身が、原因なのです。


私が、生贄になり損ねたから。
彼女が、Aさんが私の次の年にまた生贄として捧げられてしまったのでした。




─────私は、間違っていたのでしょうか。


鬼火をなんとしてでも拒否していれば、彼女があんなになってしまうことはなかったのでは無いのでしょうか。




私は、どうすれば良かったのでしょうか。

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