【鬼徹】憎しみの欠片【鬼灯】

地獄手記/十八 ページ22

【多少の残酷表現、またはグロテスクと見れるシーンがあります。ご注意下さい。】


A『……はぁ？』

鬼灯「その言霊は、貴女が生前に残した恨み、妬み、悲しみ、絶望、苦しみ、痛み…それは、貴女自身なんです」

A『んなこと言って油断させようとすんじゃねぇ！！それにっ…俺が鬼になったのは誰のせいだと思ってんだ！！！』

ドスをびゅんびゅんと振り回すA。先程までの余裕が嘘のように焦り、動揺している。
鬼灯は頬の血を拭いぽつりぽつりと語り出す。

鬼灯「貴女がそんなのになってしまったのは、私───……丁の責任です。貴女がこんなにも性格を歪めてしまったのも、私の責任です。……私は、何をしたら貴女に許してもらえるというのですか？何度も何度も考えました…しかし、見当たらないのです」

A『そんな馬鹿げた懺悔は要らねえんだよ！！！！いいからっ…いい加減、死んでく、れよ…お前がいる限り……俺は生まれ変われないんだよ！！！』

鬼灯「私が死ねば、貴女は幸せなのですか？」

憂いを帯びた目つきで、鬼灯は問う。Aはなんの迷いもなく、答えた。

A『ああそうだ！お前がいなければ、俺は幸せなんだ！！早く、早く死んでくれよ！！！！』

Aは、赤い目をギラつかせ、叫んだ。
その瞬間、鬼灯はふ、と優しい顔をした。

鬼灯「さようなら、Aさん」


そして、Aが言葉の意味もわからず困惑している合間に、鬼灯はAのドスを奪い、何の躊躇いもなく







己の喉元に突きつけたのだった。

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