顔色 ページ27
貴「あれ、田沼くん?」
廊下を歩いていると、正面から黒髪の男の子――田沼くんが歩いてきた。
田「ん? ああ、翅川か。どうしたんだ?」
貴「……何か面白いことでもあった?」
田「え?」
貴「田沼くん、楽しそうな顔してるから」
田「……そうかな?」
本人は無自覚なようだった。
でも、いつもより雰囲気が明るい気がする(別に、いつも田沼くんの雰囲気が暗いと言っているわけではない、決して)。
田「面白いやつを見つけたんだ」
貴「そうなんだ、よかったね」
田「ああ」
このときの私は知らなかった。
まさか、田沼くんが言っていた「面白いやつ」というのが、夏目くんだということを――
次の日、学校の校門に入ると、夏目くんが前を歩いていた。
彼と会うのはなんだか久しぶりのような気がして、私は声をかける。
貴「おはよう、夏目くん」
夏「ああ、Aか。おはよう」
貴「Aか、ってひどくない?」
夏「え? ごめん。そんなつもりじゃなかったんだけど……」
貴「あはは、知ってる。ごめんごめん、少しからかってみただけ」
夏「……おい」
貴「怒らないでよ」
夏「怒ったわけじゃない、呆れただけだ」
それもそれでなんだか悲しいな。
貴「……うん?」
夏「? なんだよ」
貴「夏目くん、なんだか疲れ切った顔してない?」
夏「えっ、わかるのか!?」
貴「やっぱり」
夏「何でわかったんだ?」
貴「何でって……そんなの、夏目君の顔見ればわかるよ」
夏「そんなもんか?」
言いながら、夏目くんはぺたぺたと自分の顔を両手で撫でる。
なんだか可愛らしい光景である。
貴「で、夏目くんは何か悩みでもあるのかな?」
妖関係のことで。
私は周りに聞こえない程度の声で言った。
それに対して、夏目くんは同じように小さく頷いた。
貴「……本当、夏目くんって巻き込まれやすいね。巻き込まれ体質ってやつ?」
夏「好きで巻き込まれてるんじゃないよ」
貴「でしょうね」
でも優しいあなたは、それでもやっぱり巻き込まれるのだった。
運命ってやつかね?
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紗嵐(プロフ) - 126位にランクインしました! 皆様のお陰です! ありがとうございます! (2014年3月13日 16時) (レス) id: f9f03150e8 (このIDを非表示/違反報告)
紗嵐(プロフ) - こばんさん» ありがとー! 嬉しいなっ☆ これからもがんばるねっ♪ (2012年8月31日 23時) (レス) id: 4a0538ac6c (このIDを非表示/違反報告)
紗嵐(プロフ) - 和美さん» 私も夏目ラブです! ありがとうございます!ありがとうございます! (2012年8月31日 23時) (レス) id: 4a0538ac6c (このIDを非表示/違反報告)
紗嵐(プロフ) - 皐月飛亜さん» ありがとうございます! とても嬉しいです! 頑張りますねっ! (2012年8月31日 23時) (レス) id: 4a0538ac6c (このIDを非表示/違反報告)
紗嵐(プロフ) - 狛夜さん» ありがとうございます! 頑張ります! (2012年8月31日 23時) (レス) id: 4a0538ac6c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:紗嵐 | 作成日時:2011年11月12日 17時