蜜柑 ページ19
次の日、私と夏目君とニャンコ先生で、ツユカミ様のところを訪ねた。
ニ「ツユカミのじいさんはこの先の七つ森に住んでいる」
夏「こっちに来るのは初めてだな……こんな森の中に祠が……? Aは来たことがあるのか?」
貴「ううん、私も初めて」
すると蜜柑が二つ、どこからか転がってきた。
私と夏目君はそれをすぐさま拾う。
蜜柑が転がってきた方には、一人の老人がいた。
夏「落ちましたよ。大丈夫ですか?」
お「あらあら、ご親切にどうも。痛んでなければもらってくださいな。ひとりでは食べきれなくて」
貴「いいんですか?」
夏「……あ、ありがとうございます。頂きます」
お「良いお天気ですね」
夏「そうですね」
貴「さようなら、お祖母さん」
お祖母さんが歩いていくとニャンコ先生が、「あのばあさん、そう長くないな」と突然言った。
夏「は?」
ニ「あまり美味そうな匂いじゃなかった」
貴「ニャンコ先生って、人を食べる妖怪だったの?」
ニ「当然」
うわ、気をつけないと。
少し歩いていくと、森の中には古びた小さな祠があり、その後ろにはツユカミ様がいた。
夏「! 祠に住んでるって……あんた、神サマだったのか!?」
一気に夏目君の顔色が青くなる。
ああ、そういえば昨日、神様にしては無礼なことばっかりいってたよね。
そんな夏目君を見て、おかしそうに笑うツユカミ様。
ツ「いやいや、そう呼ばれているが元は祠に住みついた宿なしの物怪だよ」
ある旱魃(かんばつ)の日、村人がこの祠に祈ったらしい。その次の日、たまたま雨が降った。その祠にいる神様が願いを叶えてくれたと勘違いした村人たちはそれ以来、この祠を『露神』と崇め、供物を置いていくようになり、気付けばツユカミ様は力に溢れ、姿もみるみる大きくなったそうだ。
ニ「私やレイコが出会った頃は人間くらいの大きさだったな」
ツ「あの頃はな。今ではほとんど人足も途絶えた。進行で膨らんだ体は信仰が薄れるにつれて縮んだというわけさ」
夏目君はコートの左ポケットに入れていた蜜柑を取り出す。
夏「……蜜柑、あげようか」
ツ「ふふ、蜜柑はもうあるよ」
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長らく放置してすみません。
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いやー、こんな機能があるんですねえ。初めて知りましたよ。ある意味感動です。
興味のある方は是非立ち寄ってやってください。
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紗嵐(プロフ) - 126位にランクインしました! 皆様のお陰です! ありがとうございます! (2014年3月13日 16時) (レス) id: f9f03150e8 (このIDを非表示/違反報告)
紗嵐(プロフ) - こばんさん» ありがとー! 嬉しいなっ☆ これからもがんばるねっ♪ (2012年8月31日 23時) (レス) id: 4a0538ac6c (このIDを非表示/違反報告)
紗嵐(プロフ) - 和美さん» 私も夏目ラブです! ありがとうございます!ありがとうございます! (2012年8月31日 23時) (レス) id: 4a0538ac6c (このIDを非表示/違反報告)
紗嵐(プロフ) - 皐月飛亜さん» ありがとうございます! とても嬉しいです! 頑張りますねっ! (2012年8月31日 23時) (レス) id: 4a0538ac6c (このIDを非表示/違反報告)
紗嵐(プロフ) - 狛夜さん» ありがとうございます! 頑張ります! (2012年8月31日 23時) (レス) id: 4a0538ac6c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:紗嵐 | 作成日時:2011年11月12日 17時