話 ページ15
だんだん寒くなっていき、冬が近付いてきたことがわかり始めた頃、私は夏目くんの家にお邪魔しているのだった。
夏「A、今日呼んだのは、Aに聞いてほしい話があるからなんだ」
私は夏目くんに呼ばれ、初めて夏目くんの家に訪れ――塔子さんはとても優しくて暖かい人だった――夏目くんの部屋に入り、向かい合わせで座っている。
貴「話って?」
夏「…………」
夏目くんは、鞄の中からこの間見た紙の束を出し、私と夏目くんの間を置き、
夏「『友人帳』のこと」
と言った。
夏「この『友人帳』は、祖母の遺品なんだ」
おそらく、たった一人の――唯一無二の血縁である夏目くんにとって、とても大切なもの。
夏「強い妖力を持つレイコさんは、多くの妖怪を負かして、子分となる証として、紙に名を書かせ集めた」
それが――この友人帳。
夏「名を呼ばれれば決して逆らえぬ契約書の束」
貴「……じゃあ、だったらその『友人帳』を求めて、夏目くんを襲う妖怪も少なくないんじゃない?」
夏「ああ、そうだ」
貴「……夏目くんは、それでいいの? そのせいで、夏目くんが死んじゃうかもしれないんだよ? そんなの、手放した方がいいよ」
夏「それはできない」
夏目くんは言う。
夏「祖母の大事な遺品なんだ。軽々しく手放せない。祖母は人とうまく付き合えなかったらしい。彼女を憶えている『人』はほとんどいないんだ。繋がりを持っていてやりたいんだ。他人事とは思わないしな」
夏目くんの眼は、とても真剣だった。
貴「それで、そんなお人よしの夏目くんは、その妖怪に名前を返すことにした」
夏「お人よしって……ああ、そうだ」
貴「話してくれてありがとう。私、夏目くんの力になりたいから、いつでも相談してね」
ラッキーアイテム
革ベルト
ラッキーカラー
あずきいろ
116人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
紗嵐(プロフ) - 126位にランクインしました! 皆様のお陰です! ありがとうございます! (2014年3月13日 16時) (レス) id: f9f03150e8 (このIDを非表示/違反報告)
紗嵐(プロフ) - こばんさん» ありがとー! 嬉しいなっ☆ これからもがんばるねっ♪ (2012年8月31日 23時) (レス) id: 4a0538ac6c (このIDを非表示/違反報告)
紗嵐(プロフ) - 和美さん» 私も夏目ラブです! ありがとうございます!ありがとうございます! (2012年8月31日 23時) (レス) id: 4a0538ac6c (このIDを非表示/違反報告)
紗嵐(プロフ) - 皐月飛亜さん» ありがとうございます! とても嬉しいです! 頑張りますねっ! (2012年8月31日 23時) (レス) id: 4a0538ac6c (このIDを非表示/違反報告)
紗嵐(プロフ) - 狛夜さん» ありがとうございます! 頑張ります! (2012年8月31日 23時) (レス) id: 4a0538ac6c (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:紗嵐 | 作成日時:2011年11月12日 17時