鬼さん、こちら(あろ)1 ページ24
私とマコト君は、特に何も考えずに同じ高校に進学した。
マコト君はよく喋るようになったし、私は耳や尻尾を隠せるようになったので、それなりに普通に生活を送っている。これは高校一年生の春の頃のお話。
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※あろま視点
あー、だるい。
段々と日差しが強くなる春。
入学早々に見つけたこの
空になったトマトジュース(吸血鬼用)のパックをゴミ箱に放り込んで、そろそろ部活にでも行くかと思案する。
(ここは誰にも会わなくて済むから気楽だったのに)
学校生活は、お世辞にも面白いとは言えなかった。
俺は普通と違うし、だから普通を理解出来ないし、普通じゃない俺を理解されたいとも思っていない。
部活に行けば、「よぉ、ダイスケ！」なんて陽気に絡んでくる男がいるが、あくまで部活仲間。
(...今日は帰るか)
カバンを持ち、屋上から出ようとドアを開ける。
「おっとと？！」
ドアの向こうから、ひとりの女子生徒が倒れ込んできた。ちょうど向こうからドアを開けようとしたようだ。
「び、びっくりした！すみません！」
咄嗟に助け起こして、女子生徒は転ぶこと無くすぐに離れていく。
「別にいいよ」
長居は無用。女子生徒の顔もろくに見ることなく、屋上から立ち去る。
後ろからは、「ありがとうございました！」なんて声が聞こえた。
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それから月日が経ち、季節は夏に移ろう頃。
(このクソ暑いのにマラソンの授業なんて気が狂ってる。)
クラスメイトには適当に「体調が悪い」と言い訳して、夏の屋外授業を免除されている俺は保健室に向かう。
「しつれーしまーす」
やる気のない挨拶とともに保健室を開けると、どうやら保健医は不在のようで、代わりに、最近ますますウザく絡んでくる男と、いつか見た女子生徒がいた。
「おっ、ダイスケ！お前サボりか〜？」
このマコトとかいう男は、陽気お気楽クソ滑舌というウザさMAXの男だった。
「ちょっと、本当に体調不良かも知れないでしょ。」
それを窘める女子生徒。こいつは確か...
「...あ、あの時の。」
無意識にそう声が出ていた。
俺のその言葉に、女子生徒はまじまじと俺を見て、そして笑う。
「あ！その節はどうもありがとう！あの時以来だね！」
「えっ、なになに、A、ダイスケと知り合い？」
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作者名：名無しの夢女子 | 作成日時：2019年1月8日 22時
