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鬼さん、こちら(あろ)2 ページ25

マコトが興味深そうに、俺と女子生徒...Aを交互に見る。

「ダイスケ、俺しか友達いないしさ〜、意外だわ〜」

「うるせぇ」

余計なことを言うな、と一蹴すれば、マコトは「えー、いいじゃんいいじゃん」とクネクネ。気持ち悪い。

「コイツ、吸血鬼なんだよ」

「...余計なこと言うなっつったろ」


マコトは雪男らしい。コイツは、たまたま俺の吸血鬼用ジュースを見た時に「俺も雪男なんだよね〜」なんて軽い感じで言うもんだから、腹が立ったのを覚えている。
そんなこと、軽々しく言うもんじゃ、ないだろ。

「そうなんだ!私たち以外にもいたんだね!」

Aはマコトの言葉を聞いて、嬉しそう笑う。
...やめろ、そんな顔をするな。


「...気分悪いわ、帰る」

たった今入ってきたドアを再び開けて、俺は保健室を出ていく。
後ろから、マコトが焦って呼び止める声が聞こえた。

ーーーーー

あれからすぐに夏休みに入り、誰とも会うことなく、気付けばまた学校が始まろうとしていた。

(...あいつらは、一緒に遊んだりとか、してたのかな)

無意識にそんなことを思って、すぐに思考をかき消す。何を考えてるんだ俺は。


学校が始まると、クラスメイト達が、やれ夏休みはどこに行っただの、誰と誰が付き合い始めただのと大騒ぎ。
俺は自分の席に座って外を眺めるだけ。


「...ダイスケ君」

不意に名前を呼ばれて、声のする方へ振り返る。
そこには、あまり会いたくない奴が。

「...何。人のクラスまでわざわざ来て何の用?」

自然と返答も冷たくなる。

「今日学校終わるの早いし、ちょっと付き合って欲しくて。」

「...はぁ?他の奴に頼めば?だいたい別に俺はお前とそういう仲になった記憶ないけど?」

「...そっか、ごめ、またね。」

捲し立てるように言葉を紡げば、彼女はあっさり引いてしまった。
近くにいたクラスメイトが不思議そうにこちらを見ている。居心地が悪い。

(何なんだよ。マコトも、あいつも。)

...気付いていた。少しずつ。
あいつらが羨ましいことも。素直になりたいのに、壁を作っていることも。

始業のチャイムが鳴って、クラスメイトがぞろぞろと自分の席に着く。
その日の授業は、あまり頭に入ってこなかった。



放課後。
いつまでも学校にいる気になれず、さっさと帰り支度をする。

カバンを手に足早に教室を出れば、突然誰かに腕を掴まれる。...この、ひんやりとした感覚は。

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作者名:名無しの夢女子 | 作成日時:2019年1月8日 22時

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