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もしも、あなたと(あろ) ページ16

※もしも吸血鬼と付き合っていたら?



「ねえねえ、そのジュース美味しいの?」

うちに遊びに来ていたAがそんなことを聞いてきた。

「んんー...美味しいっちゃ美味しいけど...美味いから飲んでるんじゃなくて、必要だから飲んでるだけだからなぁ」

俺は手に持っていたトマトジュース(鉄分たっぷり吸血鬼用)を改めて眺めながら言う。
美味いかどうかなんて考えたこともなかった。飲み忘れると気分が悪くなるし、物心ついたときから飲んでるものだし。

「...飲んでみたい」

「は?」

Aは興味津々、という様子でトマトジュースを見ている。
真剣な眼差しで、尻尾と耳はぴんと立っている。

「...ほら」

俺とジュースを交互に見るもんだから、仕方なくAの口元にストローを向けた。

「いいの?!いただきまーす!」

Aはストローを咥えると、ちゅーっと一口。
赤い液体がストローを通って、Aの口の中へ吸い込まれるのを眺めた。

「ん"っ......まずい...」

Aは顔を顰めてすぐにストローから口を離す。...そっか、これって不味いのか。
周りの奴ら(人間)は気を遣ってるのか何なのか、飲みたいなんて言ってくる奴はいなかったしなぁ。

「なんか鉄臭いよこれ...さすが吸血鬼用...」

口をモゴモゴさせながらAが言う。

「人の欲しがっといてそれかよ!まぁいいけど。種族の違いなんだからしゃーない」

「んん...だってあろまがどんなの飲んでるのか知りたかったし...」

「不味いの飲んでて悪かったなー。...でも、確かに血の方が美味いわ、間違いなく」

「...(妖狐)の血って、あんまり飲んだらダメなのかなあ」

「は?」

「もしもあろまが大丈夫だったら、ちょっとだけになっちゃうけど、あの...」

顔を赤くして視線を泳がせるA。
何を言おうとしてるか分かってしまって、俺も目を逸らす。

少しの沈黙が気恥ずかしくて、照れ隠しにトマトジュースを啜る。
残り僅かだったようで、ずるるるる、と音を立ててしまう。

...あーあ、Aがそんなこと言うから、一本じゃ足りなくなったみたいだ。

「あー、飲み切っちゃったわ。んじゃ、おかわり...」

「?!うわわっ」

慌てふためくAを押し倒して首筋を舐めると、「優しくしてね」なんて言うから、我慢出来ずにその白い首筋に噛み付いた。


>>>
あまーーーーーい!

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作者名:名無しの夢女子 | 作成日時:2019年1月8日 22時

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