地を這う者は、雷を愛する【FT】 (ページ36)

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存在意義ページ36

「聞こえるかァ！！

滅竜魔導士ならドラゴンを倒せる！！

滅竜魔導士は7人いる！！ドラゴンも7頭いる！！」

聞き慣れたこの大声は……ナツ。

どうやらどっかの高台から叫んでいるよう。

「今日…この日の為にオレたちの魔法があるんだ！！今……戦う為に滅竜魔導士がいるんだ！！

行くぞォ！ドラゴン狩りだっ！！！」

轟音と共に空を飛ぶドラゴンから火柱が立つ。

それと共に空から卵型の何かが雨のように地上に降り注いだ。

割れた球体の中から現れたのは、小型のドラゴン。
それも一匹だけじゃない。ここにいる人間を軽く凌駕するほどの数。

「地の藻屑と散れ」

私の手が地に触れた瞬間、まるで海のように波打つ地面がたちまち生まれたての小型ドラゴン達を飲み込む。

「デカブツはオレがやる！お前らは小型を何とかしろ！！」

仲間を背に炎のドラゴンの前に立ち塞がるラクサス。

「ナツの声を聞きましたね。ドラゴンを倒せるのは滅竜魔導士だけです。ここはラクサスと雷神衆に。ガジルとAは他のドラゴンを」

初代の迅速且つ的確な指示。
どうやらここに残るという選択肢は私達滅竜魔導士には与えられないらしい。

目の前に立つ広い背中を一瞥した。

「死ぬなよ」

「お互いにね。死んだら殺しちゃうから」

小さく笑う彼の傷だらけの指に一瞬だけ自分の指を絡ませ、すぐに離した。

これが最後の別れにならないよう、そう願いながら。