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42話 ページ43

「怖くないですよー。ほれ、落ち着いてきました?」

「うん。ちょっとだけ。ありがと。」

そう言いながら私と手を握っていない方の手で涙を拭った。

「同じくらいの歳なのに、お姉さんみたいだね。」

…中身は君より十四、五歳上だからね。なんて言わないけど。

敦くんのいる前の車両を見ると、とてもこの子には見せられない光景が広がっていた。
赤い着物の女の子の後ろに白い人間みたいな形のものがいる。

そいつが刀を抜いて、敦くんを刺しまくっている。

…ちょっとヤバそう。大した助けにもならないけど、応援に行ったほうがいいかな…。
刀を一回弾くくらいは…あ、力量の問題で無理ですね。

はぁ…どうしようか。取り敢えずこの子の事を見とかなきゃいけないよね。さっきからとても強く手を握ってくれてるし。

まぁ、怖いよね。
他愛のないお話をしてみようか。

「今日はお母さんと弟さんと、どこに行ったんですか?」

女の子は答えた。
「えっとね…。お祖母ちゃんの家に行こうと思ってたの。だけど…」
そう言って俯いてしまった。…ってだめじゃん私!話題転換!

「そ、そういえば好きな食べ物ってなんですかね?私はチーズと和食…あー、天ぷらとか魚とか…が好きですよ!」

「私は甘いものが好き。フルーツ、お菓子、甘いものは全部好き!」

女の子の表情がちょっと明るくなった。お、成功かな?

「じゃあじゃあ、わらび餅はご存知ですか?」

「わらび餅?食べた事ないよ。」

「それは勿体無いです!この前私も初めて食べたんですけどね…。もちもちで、甘くて!上にかかってるきな粉がまたいいんですよ!とっても美味しかったです!今度食べる機会があれば、ぜひ食べて下さい!」

女の子は小さく、「甘い、もちもち…。」と言った。

「それ、とっても美味しそうだね!うん、今度食べる!」

女の子は笑顔でそう言った。
だいぶ落ち着いたかな?そんな所でこの子のお母さんが近寄ってきた。弟さんは寝ている。…早いっ!瞬間爆睡の術でも持ってるの!?

「あの、この子と一緒にいてくれてありがとう。」

「あ、いえ。当然のことをしたまでなのですよ!なにせ、私は武装探偵社で働く者ですからね!」

それを聞いた女性は目をぱちくりさせ、やがて笑った。

「そっかそっか、頑張ってね!」

あ、嘘だと思っただろ、絶対。
そうだ、敦くんが心配。この子のお母さんが来てくれたなら、少しそちらを見に行っても大丈夫だろうか。

でも、さよならする前に名前くらいは聞きたいな。

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椿(プロフ) - 敦くんの茶漬け食いたい(( (2019年2月20日 18時) (レス) id: e36d1c7298 (このIDを非表示/違反報告)
小山田リリ - ましゅ麻呂さん本当に尊敬します!!私も頑張ろ)) (2019年2月19日 20時) (レス) id: 196d5d8b2f (このIDを非表示/違反報告)
茨姫 - とても良かったです!私も頑張ってみようと思ってみました! (2019年1月26日 22時) (レス) id: 6a42e59c6b (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ましゅ麻呂(とよ) | 作成日時:2019年1月26日 20時

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