41話 ページ42
与謝野女医が進んでいった方向でまた爆発音がしたが、大丈夫だろうか。
心配事だが、取り敢えず自分ができる範囲でやらねばと各車両を走り回る。最後尾の車両と前の車両以外、全部走らなくては。
途中、優しそうな人が、
「君も逃げなきゃだめだよ?」
と言ってくれたけれど。私も武装探偵社の一員ですからね。そういう訳には行かないのです。
「じゃあ、頑張って下さい。敦くん。」
「Aちゃんも、気を付けて。」
前の方の車両で敦くんと別れる。けれども車両って繋がってるから私からはまだ敦くんが見えるし、別れた感じはしないのだけれど。
この電車、何両あったっけ…。確か五、六両あった様な。じゃあまだこの車両にいる人達もっと奥に避難させたほうがいいのかな…。でも、真ん中の方の車両の一つ爆発してたよな…。そこは通れないから、ここが逃げれる限界って事?
ここの人達危ないなぁ…。
とか考えてると赤い着物を着た女の子が前の車両に向けて走ってくる。
「あ、ちょっとそっちは!」
そう言いながら手を伸ばして着物の袖を掴もうとするけれど、所詮幼女でした…。はい。そのまま敦くんの方へ走っていくので、敦くんに捕まえて貰おうと思い、隣の車両に向かって叫ぶ。
「そっちに赤い着物の女の子が行きました!」
返事は聞こえて来ないけど…伝わったかな。電車が走る音とか人の波とかに声が吸い込まれて届いてなかったらどうしよう。
まぁ、大丈夫だよね。
えっと…私と同い年、つまり四歳くらいの女の子が一人で泣いているのを発見しました。取り敢えず声をかけてみる。
「どうしたんですか?」
すると泣きながらこっちを見て言った。
「さっきドーンって音がして、すっごく揺れて…。怖かったよぉ…。」
あー、なるほど。確かにあれは並の幼女なら泣くレベルの事かもしれないな。
昔飛行機に乗ったとき、泣いてる幼女見た事あるし。あれで泣くならこれは結構きついよね。
「君のお母さんは?」
同じくらいの歳なのにお姉さん口調になってしまう所にはツッコまないでほしい。
「弟がいるから…あっちで弟といる。」
そう言って指を指した方向には、確かに小さな男の子を抱えた女性が一人いた。男の子もびーびー泣いている。
「私、お姉さんだから…。君は怖くないの?」
ちょっと苦笑いしながら答える。
「慣れてますからね。あ、そうだ。怖いなら一緒にいませんか?手を繋ぎましょうよ。」
そう言うと女の子は頷いて、私の手を握った。
174人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「文豪ストレイドッグス」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
椿(プロフ) - 敦くんの茶漬け食いたい(( (2019年2月20日 18時) (レス) id: e36d1c7298 (このIDを非表示/違反報告)
小山田リリ - ましゅ麻呂さん本当に尊敬します!!私も頑張ろ)) (2019年2月19日 20時) (レス) id: 196d5d8b2f (このIDを非表示/違反報告)
茨姫 - とても良かったです!私も頑張ってみようと思ってみました! (2019年1月26日 22時) (レス) id: 6a42e59c6b (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ましゅ麻呂(とよ) | 作成日時:2019年1月26日 20時