20話 ページ21
「閉じ込めてる…って、どういうことですか?」
一星の言葉にAは手を上げると、指先でそっとオリオン座をなぞった。
「オリオン座って砂時計やリボンみたいな形をしてるでしょう?…でも扉がない、出口がないの。」
オリオン座は、確かに線を結んでしまえば出口はなくなり逃げ出すことが出来ない。
出口がないと聞けば一星はAの言葉を聞いて少し暗そうな表情を浮べるが、Aはそんな様子の一星に気が付かなかった。
「…Aさん。もう少しで消灯時間来ますよ、そろそろ戻りましょう」
「え?…あ、本当だ、そろそろ戻らないと」
Aはイレブンバンドを見ると、消灯時間の20分前だった。Aは立ち上がって小さく伸びると、一星くんを見詰める。
「一星くんも戻りましょう?」
「俺はもう少し走り込みしたら戻りますよ、先戻っててください」
「そう…? わかったわ、また明日。おやすみなさい」
「おやすみなさい!」
一星は立ち上がってAにニコッと微笑むと、走ってその場を去っていった。
するとAは違和感に気がつく。
「…あれ、一星くんって…私のこと"さん"付けで呼んでたかしら。それに…"俺"? "僕"だったような気がするけど…」
*
「はぁ…ッ、 はぁ…」
一星は少し走り込んだ後、両膝に手を当てて肩で息をしながらゆっくりと整える。
そっと見上げれば、オリオン座が強く輝いていた。
「絶対に…成し遂げてやるッ。俺はこの"刻印"に全てを捧げた! これが…俺の覚悟だ。
そして紅月A…お前はオリオンに相応しい奴だ。…お前をオリオン座に閉じ込め、俺と日本代表を潰してもらう…!!」
一星はそう述べると、オリオン座と共鳴するように、一星の足首に刻まれたオリオン座のような刻印が青く光り出す。
そして不敵に、一星は怪しげな笑みを浮かべた。
.
「怪我の具合はどうなんだ?」
翌日。
豪炎寺が入院している病院の病室で、鬼道は豪炎寺と話をしていた。
豪炎寺の脚は痛々しく包帯で巻かれていた。
「思ったほど酷くはない…だが、アジア予選での復帰は難しそうだ。」
「そうか…お前の妹は、さぞかし心配しただろうな」
棚の上に飾られた豪炎寺と妹の夕香との写真を見て、鬼道は述べると、豪炎寺も写真を眺める。
「…豪炎寺、韓国戦で感じた違和感のことだが…」
「嗚呼…この大会には何かあると思う。」
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作者名:りはる x他1人 | 作成日時:2020年3月20日 16時