第67話 黙 れ ページ20
椿は離さない。彼を行かせまいと服の裾を両手で掴む。
その姿はまるで幼い子供のようで
この瞬間。2人の間に流れる空気が昔に戻ったのではと思うほど2人の間の空気は幼かった。
喋らない椿。喋るのを待つ彼。追い討ちをかけながら。
「どうした?あ、零とかの方がいいか?りつとか
それとも弟とを_______」
そこまで彼が言うと椿は彼の口を右手で塞ぐ。
黙 れ
そう言うかのように彼女の紫の瞳が緑の瞳を貫く。
すると彼は彼女の手首を
パシ
と掴み彼女を睨み返す
「なら。お前はどうする?
自己犠牲もエゴもいい加減にしろよ‼︎‼︎‼︎‼︎」
ビグッ
椿が怯む。
一歩後へ下がる椿。手を下げようとするが彼は離さず彼もまた一歩前へ進む。
「お前。前おれに言ったよな?
私は人を傷つける疫病神だって
疫病神になるたくないってなりたくないくせに自分からなりに行ってどうするんだよって聞いてんだよ‼︎」
彼の方が響く。
椿の体の隅々まで行き渡るその感情は椿の心を閉じ込める箱の隙間に入り込もうとする。
「そんなに弟に会いたくないか?
あいつは必死にお前を追いかけているのにお前は
あいつを自ら傷つけるのか?お前のやりたいことは弟を傷つけることなのか⁈」
違う。
彼女はもう片方の手で耳を塞ごうとする。
だがその手は彼によって掴まれる。
「逃げんなよ臆病者!
そうやって自分が楽になる道をあいつらを傷つける道をお前はえらぶのか?糸が切れたマリオネットみたいに壊れたフリして動けないふりしてお前は_______!!」
あいつらを泣かせるのか?
そのことばに椿はハッとした。
彼の目には涙が浮かんでいた。
彼は涙を拭かずに言い続ける。
「答えれろよ‼︎お前がまだ生きてるなら
お前の心が生きてるなら話せよ!!お前は
朱桜 椿はどうしたいんだよ!!」
2人の間に風がまたふく。
彼は一気に話したからかはぁ、はぁと息を吐いている。
その瞳に涙を溜めだが決してこぼさず
彼女を見る。
「わた…しは、」
ボソボソと椿は話す。
「かれ…らの世界を_みた…いから
異物を…のぞくために…」
わた…しは、、わたしは…
「家族と、笑いあいたい」
椿はそう言って涙を流す。
一筋の涙を。
ドンと、彼の胸を叩き言う。
「傷つく姿。見たくない
私のせい。私のせいだから私がいらない。異物は消える。それが運命の流れ。逆らうことは許されない」
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aj - 色んな場面で泣きました。凄く面白かったです更新楽しみにいてます。 (2023年4月2日 16時) (レス) @page29 id: 52fb1e9a16 (このIDを非表示/違反報告)
ハムム(プロフ) - にゃーちゃんさん» そう言っていただき嬉しいです‼︎更新もこれから頑張っていくので楽しみに待っていてくださいね‼︎ (2022年8月12日 7時) (レス) id: f8432527a9 (このIDを非表示/違反報告)
にゃーちゃん - とても面白いです!!もう、感動して思わず泣いちゃいましたw更新頑張ってください!楽しみにしてます! (2022年8月12日 6時) (レス) @page25 id: e862c91e4d (このIDを非表示/違反報告)
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