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待ち合わせの店へ着いた俺は、Aの父親をみつけた。
.
父「葬式以来だね、」
優しそうな顔をしていた。
父「いきなりだけど、あの日のこと覚えてるかい？」
Aが亡くなった日。
御幸「はい…」
父「君と待ち合わせをしていたらしいね」
あ、恨まれてるやつかこれ。そう思ったが、
父「いや、恨んでるとか怒ってるとかそういう話じゃないんだ。
人見知りで内気なあのこが、誰かに会いに行くとか遊びに行くとかは君が初めてだったんだ」
懐かしそうな、寂しそうな顔をしていた。
父「娘を…Aを幸せにしてくれてありがとう」
御幸「！…」
無理に笑っているのであろうその顔は、無理をしている時のAと似ていた。
父「君と付き合ってからのAは、それまでのAとは全然違った。いつも笑顔で幸せそうだった…
感謝しかしてないよ」
御幸「…」
父「あと、これなんだけど…」
綺麗に包装された何か。
父「一也くんの甲子園出場祝いであげるって嬉しそうに話してたから、きっと君への物だろう…
受けとってくれるかな…？」
御幸「…いえ…」
父「？」
御幸「Aが…Aさんが甲子園出場祝いでくれる予定だったのなら、貰えません。
俺たちは今日、負けたので」
父「…でも、Aからのプレゼントなんだ、受けとってくれ」
御幸「Aさんはくれないと思います。甲子園に行くまでお預けだなって…頑固なところありますから」
父「…ははっ、そうだな。Aならそう言いそうだ
ありがとう、Aのことを理解してくれていて。君みたいな息子が欲しかった」
御幸「そんなことないですよ…結局あの日、俺が無理にでも断っていればこんなことには……っ」
父「それは違うな。あいつは行くって決めたら絶対行くから、私にも止められなかった。だから一也くんがダメと言っても必ず行っていたさ」
御幸「…」
父「それだけ君のことを好きだったんだろうな…」
御幸「っ…」
父「本当にありがとう。君のことを幸せにできなくて申し訳ない、娘に代わって謝罪する」
御幸「そんなことないです!!俺はAと出会えて幸せでした、充分幸せでした
何度もお礼を言われましたけど、俺の方こそ、お礼を言うべきです
本当にありがとうございました」
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作者名：ふー | 作成日時：2017年12月18日 23時
