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「結婚はした方がいいよ」
「…A？」
「大事は営業先の娘さんでしょ？
今さら断ったらうちの会社への損失が大きすぎる」
「俺は会社の為に結婚するわけじゃない」
「じゃあ尚更どうして？
その人が好きだから結婚するんでしょ？
今さらそんなの無責任だよ！！」
巧見が結婚しないなら、
これからも側に居てくれるなら、
以前までの私なら心から喜べたはずなのに。
……今は違う。
コロコロ変わる態度に憤りすら感じる。
私じゃない誰かを選んだなら、それを貫いてほしい。
今さら�犢イ��瓩覆鵑董帖�
ズルいよ。
「っ…俺は、Aが好きなんだよ！！」
私に跨るようにして肩を掴んだその手には今まで感じたことない巧見の力強さがあって、かつてない必死さが垣間見れた。
「次こそ、絶対に裏切らないから」
「……」
「俺と一緒に居てほしい」
巧見の真剣な目
私を見下ろすその目は少しだけ潤んで見えた。
そのまま私の首筋に顔を埋めて痛いほど激しく吸い付く。
私にもう好かれてないとわかってて、それでも必死になる巧見がどこか可哀想に見えて、とてもじゃないけど抵抗する気になれなかった。
ここで拒否したら巧見が私の前から本当に消えてしまう気がして……
でもそれは寂しいとか辛いとかそういうことじゃなくて、同期としてこれ以上彼の落ち込む姿は見たくなかった。
たとえ感じなくても……
気持ちが通じ合ってなくても……
今日は巧見の欲望を受け入れようと思ってしまった。
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作者名：珠美 | 作成日時：2021年9月15日 12時
