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「そんな人いないよ?」
「嘘つき」
母親に甘える子供みたいに寂しそうな声して。
いつもこうやって私の心を揺さぶるんだ。
「……どうして、そう思うの?」
巧見の表情は見えない。
私の顔が押しつけられた巧見の胸元からはドクッドクッと一定音が聞こえてくる。
「他の男に抱かれたことくらい俺にもわかるよ」
「……」
「Aが思ってる以上に俺ちゃんとわかってるからね」
……何それ。今さら彼氏面しちゃって。
「だって好きだし」
‥‥
‥‥
……え?
「俺、やっぱり結婚やめようと思って」
「……巧見……?」
やっぱりやめる?
何そのノリ。全然わかんない。
デートドタキャンするみたいな軽い感じ。
混乱する私を巧見がやっと解放してくれて、至近距離で見つめ合う。
「他の男に取られて俺ようやくわかったわ。まじ無理。」
「…何を、今さら、」
「今さらじゃないよ。まだ入籍してないし」
「だって式場の予約してるでしょ?ドレスだって…」
「そんなの全部キャンセルする」
巧見の破天荒さは今に始まったことじゃない。
だけど今回はあまりにも酷すぎて言葉にならない。
「自分が言ってること、わかってる?」
「うん。だけどAが他の男に取られる方が無理だから」
「……」
融通の利かない子供と一緒。
結婚をやめる?今さら?
そんなのできるわけないのに……
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作者名:珠美 | 作成日時:2021年9月15日 12時