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これがTrickstarの氷鷹北斗だったら『なんでやねん!』と突っ込んでいただろうか。
どうすればいいのか解らず、まだ居てくれた晃牙に目で助けを訴える。
晃牙はやれやれと云わんばかりに頭を掻き、此方に近付いて来た。
「ったく、このド変態吸血ヤロー!
しっかりしやがれ!」
グイッと私から朔間先輩を剥がしてくれた晃牙は朔間先輩の袖を掴んでいた女の子に朔間先輩から離れるよう告げる。
女の子は渋々朔間先輩から離れ、それを確認すると晃牙は朔間先輩に肩を貸しながら『オラ、行くぞ!』と弱々しく唸る朔間先輩を連れて行った。
正門前に残された私もあの騒ぎでもずっと私の手を握ぎり続けていた良太君へ目線を合わせる為に身を屈め、『ごめんね、お姉ちゃんももう行くからね』と手を離して欲しい事を優しく伝えた。
良太君は小さく頷き、手を離してくれたが『じゃぁ、』と口を開き、こう言った。
「今日学校が終わったら、おれとデートしてよ!」
「えっと……」
やっぱり、最近の子はマセてるなーと苦笑いを溢していると横から『ちょっとアンタさぁ』と不機嫌な声が聞こえた。
それは朔間先輩に引っ付いていた女の子だったが、先程の可愛い顔とは打って変わり、眉を寄せ、腰に手を当てて私を
その豹変ぶりは子役顔負けだ。
「来美のジャマしないでくれる?」
「えっ?」
「あの人は来美のフィアンセなんだからね!
気安くさわらないで!このアバズレ!」
「あば…っ!?」
朔間先輩の婚約者と名乗る女の子基、来美ちゃんはとんでもない台詞を私に吐いて、走り去った。
最近の子供は進みすぎではないか?
あまりの出来事に呆然としている私を余所に良太君も『また来ます!』と頭を下げ、来美ちゃんの後を追うように走り去って行った。
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作者名:ナナシ | 作成日時:2018年4月7日 12時