嘘の塊〜【黄瀬・青峰・赤司】完

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あなたに...

今日会ったばかりのあなたに

私の何が分かる？





バカにしないで...


”黄瀬涼太”


私はあなたとは違う。







黄「知ってるっスか？
人間どんなに嘘で固めても

瞳だけは嘘つけないって。

会ったその瞬間に
オレは分かったっスよ

この人...寂しさと葛藤してるって」





貴「...バカにしないで下さい。
あなたに...あなたなんかに

私の何が分かるの...？

勝手な事並べないで...」





黄「Aっちに何があったかとか
何を背負ってるかは...
オレには全然分かんないっス。

聞くつもりもない。

けど寂しさの中に埋もれてるってのは
分かるっスよ」






こんな風に...

人と話す事さえ久しぶり。



寂しいなんて
感情捨てたのに...


お願いだから
蘇らせないで...。


蘇ったら引き返すのに
時間がかかっちゃうんだよ...







寂しくなんか無い

私は一人で大丈夫...

そう頭の中で繰り返した。







けど...
一歩遅かった。





自然に流れ落ちる涙。








”寂しい”って感情が


私の心に蘇る








それと同時に
暖かい温もりに包まれる



忘れかけていた人間の温もり...





人間ってこんなにも温かかった？


あの時...
本当は母に抱き締めて欲しかった

あの時...
先生に守って欲しかった




誰かに

”大丈夫だよ”って

その一言だけでも言って欲しかった。


それだけで...
私は一人じゃないって

そう思えたはずなのに。






いろんな感情が

次々蘇ってくる...





全部...全部捨てたのに。







黄「大丈夫っスよ。
Aっちは一人じゃない。

もう一人で寂しさと
戦かう必要ないんスよ。

オレも寂しいんス。

だからオレと一緒に
その寂しさと戦わないっスか？」





抱き締めてた手を緩め
私を正面に向かせる





頬を伝う涙を拭きながら



黄「今まで一人でお疲れ様」


そう言った。






今日初めて会った人。


それなのに...


私の全ての感情を一瞬で蘇らせた。









貴「私を抱いて下さい」









自分でも分からない。



なぜこんな事を言ってしまったのか


この人が好きになったとか
そうゆう気持ちは一切無い...




ただ...ただ...
人の温もりが欲しかった。




偽りでも...嘘でもいい。


私を抱くそのひと時だけで良い。



私を必要としてもらえる
瞬間があるなら...



”抱いて欲しい”




私も生きてる価値があるって

そう思える気がしたから...

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