猿飛佐助/彼シャツ事変 ページ9
サァアアアアッと、アスファストを黒く染めていく急な雨に、佐助は彼女の手を引いて走り出した。
全く、八月の気まぐれな天気は鬱陶しい。
すぐ近くの佐助(と幸村の)家に向かう途中、不意に後ろからビシャァン、と大きな音がして、足音が消えた。
テレビの音をかき消す雨音。
其れには、極僅かにシャワーの音が入り混じっている。
デート中の突然の雨。
転び、泥水で濡れた彼女。
そして目指しているのは、彼氏の家。
シャワーを借りる彼女。
ツマリこれは……!
かすがが柄にもなく読んでいた恋愛小説を盗み見てからずっとあこがれていた……!
「彼シャツ……!」
である。
「Aちゃん。
服、此処置いとくから。俺様のでよかったらきて?」
「はあい。」
風呂場独特の響きが、俺様の兼ねてからの妄想を、余計リアルに近づける。
用意は周到だ。
ズボンは紐の入っていないものだから、ずり落ちてくること必須だ。
Tシャツは迷彩柄。そう、俺様の代名詞。
真田の旦那は、非常事態用に作り置きしていた大量の団子を餌に奥の部屋に籠らせている。そうそう戻っては来ない。
ニタリ…。
元忍頭舐めんなよ!
――――ガラリ。
とうとう来た!
暫くして、衣擦れの音と「まあ、いっか……」という、小さな戸惑うような声。
よし。
近づいてくる裸足の足音に、ドキドキしていると。
衝撃音と荒い足音。そして「ぬあぁっ、破廉恥で御座るぅうううううう!」
「わあ!?ご、ごめんなさいっ!」
―――俺様の計画が潰えたのが、この数秒で分かった。
眉を下げ、申し訳なさそうに入ってきたA。
「ええっと、借りました…。」
しっかりと手で持ちながらもズボンも穿いている。
Tシャツは襟もとで一度ゴムで縛られていて詰まっている。
「あぁ、うん。
旦那が急に叫んでごめんね。
適当にくつろいでいいから。
あと……」
彼女を護衛するように一緒に入ってきた旦那に目を向ける。
「一週間団子禁止ね、だ・ん・な?」
「なッ!」
そのあと轟いた雷鳴にAちゃんが怖がって、初めて自分から抱きついてきてくれたので、まあ良しとしよう。
長曾我部元親/バイク屋の君→←真田幸村/その迅きこと風の如く
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希望(プロフ) - 失礼します!リクエスト、させて下さい!良かったらですが、政宗様のお話をリクエストしたくて…学バサの方でリクエストしてもよろしいですか!!? (2017年6月8日 19時) (レス) id: f217a178dd (このIDを非表示/違反報告)
椿(小石の方)(プロフ) - 舞姫さん» はい!了解です。前の黒丸様と順番がゴチャゴチャになってしまうかもしれないのでご了承下さい。 (2017年4月1日 12時) (レス) id: 2a1e88c7e9 (このIDを非表示/違反報告)
舞姫 - リクエストでーす!えっと……竹中半兵衛様。明智光秀様を、出来たらでいいので、お願いしま~す。 (2017年3月25日 10時) (レス) id: f50ff2d6e1 (このIDを非表示/違反報告)
椿(小石の方)(プロフ) - はい!返信遅くなり申し訳ございません!別々で作らせていただきます。何かあればまた仰ってください (2017年3月23日 0時) (レス) id: 2a1e88c7e9 (このIDを非表示/違反報告)
黒丸 - リク良いでしょうか。弁丸、梵天丸、アニキお願い致します。 (2017年3月19日 22時) (レス) id: 892b25096f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:椿(小石の方) x他1人 | 作成日時:2016年6月27日 18時