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長曾我部元親/眠り姫(黒丸様リク) ページ20

短い髪。男のように焼けた肌。
今日も波は舟を揺らし、陸への恋しさに打たれ。
つまらない日々だった。でも、女なんて男には何も言えない、弱い生き物。
かといってーーー男として生きるのも苦しかった。
海賊の棟梁の娘として生まれ、漢として育った私は、このまま海の上で生涯をおえるのだろうか。
、と。
「兄貴ぃいいいいい!」
「どうした!?」
「で、でっかい軍艦が!敵襲っス!」
これだから嫌なんだ。私だって、もう少し淑やかな生き方をしたいのに。
大きな軍艦。其れはもう目前まで来ていて。
流石に死を覚悟した。なにせ、ここらでは有名な海賊なのだ、うちは。
せめて。
私は、かつてある港町ーーー今となっては、名前すら忘れてしまったーーーで出逢った、弥三郎という男を思い出していた。
会いたかった。
まるで姫君のように華やかに笑う彼。
私が初めて、全てを曝け出し、そして惚れた相手。

なす術もなく、大きな大砲が此方に撃たれ、私は海に放り出される。彼の顔がちらつき、そして消える。私がいままで一生懸命護ってきたものが壊れるのを見たくなくて、キツく目を瞑ると、またふわり。
水の冷たさなんて、まるで気にならなくなる…。

艶やかな髪。肩にも届かない位の短い髪だ。まだ乾ききっていないせいで、梳く指に絡みついてくる。
いつもは強がって引き締めているのだろう眉毛も、今は少し下がり気味で、静かに寝ている様をみると、まるでもう死んでいるようでどうしようもなく不安を掻き立てられる。
「A」
目醒めろよ。あの日の笑顔を、また俺にみせやがれ。
あの日の俺は何にもしてやれなかった。
まだ姫和子なんて呼ばれてた時代だ。気の弱ェおれは、自由に生きたいと願う少女の腕すら掴めないような、そんな奴だった。
おめえは、そんな弥三郎がすきだったんだよな。
こんなゴツくなっちまったおれでも、選んでくれんのか?
今度はおれが、おめえの人生を縛りゃあしねぇか。
「っ、しゃらくせえ」
おれは、さっきから薄い呼吸を繰り返す唇に触れた。半ば噛みつくように口付けを落とす。
だったら、選ばせるまでだ。
毎日、おめえの望む日々をくれてやる。
だから、眼を醒ませ。

すると、Aはーーー。
睫毛を震わせ、おれをみて。
やざぶろう、と軽やかに笑んだ。

あとがき/小石の方→←柴田勝家/第二ボタン(ちょこみんと♪様リクエスト)



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設定タグ:戦国BASARA , 恋愛 , 小石の方   
作品ジャンル:恋愛
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希望(プロフ) - 失礼します!リクエスト、させて下さい!良かったらですが、政宗様のお話をリクエストしたくて…学バサの方でリクエストしてもよろしいですか!!? (2017年6月8日 19時) (レス) id: f217a178dd (このIDを非表示/違反報告)
椿(小石の方)(プロフ) - 舞姫さん» はい!了解です。前の黒丸様と順番がゴチャゴチャになってしまうかもしれないのでご了承下さい。 (2017年4月1日 12時) (レス) id: 2a1e88c7e9 (このIDを非表示/違反報告)
舞姫 - リクエストでーす!えっと……竹中半兵衛様。明智光秀様を、出来たらでいいので、お願いしま~す。 (2017年3月25日 10時) (レス) id: f50ff2d6e1 (このIDを非表示/違反報告)
椿(小石の方)(プロフ) - はい!返信遅くなり申し訳ございません!別々で作らせていただきます。何かあればまた仰ってください (2017年3月23日 0時) (レス) id: 2a1e88c7e9 (このIDを非表示/違反報告)
黒丸 - リク良いでしょうか。弁丸、梵天丸、アニキお願い致します。 (2017年3月19日 22時) (レス) id: 892b25096f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:椿(小石の方) x他1人 | 作成日時:2016年6月27日 18時

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